内容説明
決して死んではならない。楽しまなければならない。そして、世界を知らなければならない。それが現代を切り開く作家、村上龍の鉄則だ。才能とプライド。人生を真に充実させる二つのファクターを存分に引き出すには、どういう術があるのか?村上龍が、あなたに激しく迫る35章。
目次
その国の「ソフト」がその国を語る
「どうしてそんなに元気なんだ?」キューバ人は答えた。「人間だからだ」
自分の家族がカンボジアへ行く、という想像力がないと、PKOの是非は問えない
この国は美しいものを必要としていない
この国にはソフトがない
歌舞伎や能がなくなっても誰も困らない
夜の街に出ることがなくなってしまった
キューバは「他者」のシンボルである
外国人にはこの国の「共同体」が見えない
中上健次はきっとくやしかったはずだ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内緒です
12
幸せになるには考え方次第。プラスに能天気な人は幸せだ。と言うことばかりを伝えるハウツー本や自己啓発本はたくさんあるが、村上龍さんの本はそんな易いこと書いてない。どんなに地位も名誉もお金もあっても不満や危機感がある。不満も危機感もないやつはバカなのだ。うーん、不満や危機感を常にもち向上していくのも辛いが、不満や危機感のないバカとして生きていくのも辛い。本当に村上龍さんは凄い人。好きです、こういう大人。2013/10/22
寅ちゃん
4
再読。日本には外部がなく、共同体や世間(もう滅びつつあるが)が自浄作用を持っているため内部に飲み込まれてしまう…。危機感は現実を変える力を持っているが、この国では危機感を感じきるのは困難である。「小説とは傷やトラウマから自由になることである」「大切なのは、自己憎悪から自由になろうとする契機を正確に捉え、そのディテールを描くことに想像力を使いきることだ」このシリーズのなかでも、「世界と自己」「外部と想像力」について特化してるかな。まだ著者の若い頃だから、言葉には随分角があるけれど嘘のない矢であった。2021/10/14
らい
1
閉塞感の殻を破るのではなくそこでどう生きるかばかりが先行する国民への苛立ち。村上龍自体はさっさとそんなものから抜け出してしまってるという事実。かっけーえなー2017/04/06
しょー
0
無知であることは恐ろしい。しかし、それに気づかない状況はさらに恐ろしい。知恵をつけ、言動によってアウトプットすると少しは改善されるだろう。 学び続ける過程が安心をもたらすような気がする。2013/04/28
kousuke456
0
映画『KYOKO』製作の時期に書かれたエッセイ集。日本(人)に対する鬱憤が随所に見られる。若き日の村上龍。2013/04/17