内容説明
新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。男は歌舞伎町で十年以上も前に潰れた暴力団のことを聞き回る。一体何を企んでいるというのか。不穏な気配を感じた新宿署の刑事・佐江は、その男をマークするのだが…。新宿にもう一人のヒーローを誕生させた会心のハードボイルド長編小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
342
10数年ぶりの再読。漫画チックな設定で、出だしのつかみはバッチリ。たしか新書版では一冊だったものが、文庫では分冊されて、上巻はなかなか良いところで終わる。梶の性格が爽やか過ぎて"狩人感"があまりないことと、その正体に捻りが無さすぎるのは気になる。ここがあまりハードボイルドになり切れない分を、脇を固める準レギュラー陣で補っている。分かりやすい熱血善玉主人公すぎて、内面を掘り下げづらい梶のキャラクターならば、もっとアクションを増やして、もっと超然とした強さを持っていても良かったかもしれない。2019/12/13
はつばあば
56
今まで読んで無かったなんて、もったいない事をした。いやいや老いたればこそ若い梶君に胸キュンとなり、中年の冴えない佐江にも愛い奴じゃとも思える。秋田のマタギ精神を新宿に持ってくるなんてイケてますやん(*^_^*)。と、若いつもりで感想を書いてみた。どちらかと云うと味のあるのは宮本でこちらの方が好きだが、まぁ主人公をたてて。2015/09/24
けろりん
49
もんでんあきこ氏によるコミカライズの美しい絵に惹かれ、初めて大沢在昌氏の作品を手にした。食物連鎖、弱肉強食。一見凪いだように見える大海の、波の下には、ありとあらゆる欲望と暴力の闇が渦巻く街、新宿に、北の狩人の精神を澄んだ瞳に宿した若者が分け入る。アンダーグラウンドを舞台としたハードボイルドとの惹句に、戦々恐々としていたけれど、端正な筆致、魅力的な登場人物に惹き込まれた。2021/01/16
ひよこ
37
面白い!主人公は(多分)警官の佐江なんだろうが、ストーリーは北からやって来た狩人・梶を中心に進む。硬派なヤクザ・宮本がカッコいい!下巻にも期待!2017/09/15
きょちょ
24
12年前、新宿の田代組が壊滅されたが、謎は多い。それに関連して殺されてしまった父、その真相を解明しようと秋田からやってきた「北の狩人」、親子ともども刑事である。どうも、田代組の壊滅の真相は、やくざでも堅気でもない妖しい奴が絡んでいるようだ。 新宿鮫シリーズとは異なる主人公を形成し、なおかつ新宿にこだわる大沢在昌。 彼の、警察・刑事小説は、やっぱおもろいわ。 犯罪小説なのだが、そこに人間関係のちょいとした心地よさを絡ませている。 ★★★★2022/12/16