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出版社内容情報
■『Imaginary・Numbers』栞より---------------------------------------------
数学者にしか許されなかった贅沢を、私はもう羨むこともない、彼女が叶えてくれたのだから。
………ミルキィ・イソベ(グラフィックデザイナー/ステゥディオ・パラボリカ主宰/『2マイナス』発行人)
芸術家KKはコンピュータ・グラフィクスというワークスペースを得て、「心地よい空間」を求めて抽象表現の旅を続ける。………桂 英史(東京芸術大学美術学部先端芸術表現科助教授)
木本作品の断片の前後を想起してみよう。それは薄っすらとした記憶の淵に光を当て、意識の辺縁の感触を呼び起こすのに似ている。………河本英夫(東洋大学教授・システム論)
コンピュータライズド・デザインは、木本作品という具体的なアウトプットを得て、“新しい表現”とよべるようになった。………永原康史(グラフィックデザイナー/国際情報科学芸術アカデミー教授)
木本作品の生む銀河系は目を開けて見る夢となりついにはCAVE(没入型三次元可視可装置)で見る光景さながらに私たちを取り巻き、降り注ぐだろう。………森山朋絵(東京都写真美術館学芸員、東京大学大学院情報学環客員研究員)
■書評-------------------------------------------------------------------
◎『芸術新潮』(2003年9月号)
「y=xという方程式をみたす点は座標軸の原点を通る直線を形づくる。2次方程式は放物線、とここまでは学校で習った。では、さらに高次の式はどんな形をつくるのか。コンピュータ・グラフィックスはこの問いに容易に答えてくれる。式にさまざまな変数を与え、空間を歪めたり撓めたりすると、CGに表れる運動は刻々と変化する。著者はその絶えまない運動の、ある一瞬を切り取り、解像度を上げてフィルムに定着させた。ここには、「運動の断面」の驚くべきイメージが200頁にわたり収録されている。それは禅画の一閃する筆先を思わせ、また、花弁の緻密なミニアチュールと化し、時にエロチックな陰影さえ醸し出す。著者によれば「動きとは、物が動くことではなく、空間の様子が変わっていくこと」という。あとがきには、CG上で形を構成していく方法が、数式を交え解説されているが、ほとんどわからない。それでもこの本の魅力が減ることはいささかもない。」
◎都築響一氏(「朝日新聞」2003年8月10日)
「…アーティストが用意した数式を、コンピュータがモニター上に点や 線の流れとして描き出していく、その動きをページという静止画面に定着させた作品集。子供のころに遊んだスピログラフ(お絵かき定規)の超高精度版みたいなものだが、そのミステリアスな美しさにまず息を呑む。巻末には描画生成の基本となる数式が解説されているが、ぜんぜん理解できないのが惜しい。画家が絵筆の先を尖らせるように、版画家が彫刻刀を研ぐように、コンピュータのプログラムをチューニングして彼女が描き出すのは、スピログラフ図形のような、かたちのおもしろさを探す作業のはるか彼方にあるイメージだ。点や線の動きそのものを一枚の画面で表現しようという、けなげな努力。目の前で動き続けるなにか、言い換えれば「気配」を写しとろうとする試み。それは現代の書芸術が到達した地点に、恐ろしいほど近い。」
内容説明
コンピュータ・プログラムによって独創的なヴィジュアル表現をつくりだす鬼才のブック・コスモス。渦巻き、衝突し、飛び散り、脈打つ…時空間をリズミカルに舞い踊るドット(小さな点)の群は、緊張感と眩惑感とをあわせもった未知の造形をかたちづくる。頁を繰っていけば、いつしか心地よささえ感じられる抽象宇宙の旅へと誘われるだろう。
著者等紹介
木本圭子[キモトケイコ]
ヴィジュアル・アーティスト。多摩美術大学テキスタイルデザイン科卒業。グラフィックデザイナーとして活動を始めた1988年頃から、コンピュータを使った数理的な手法による造形を始める。1997年頃から、さらに一歩進んで、動的表現を探る制作、研究を開始する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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