内容説明
太古、満天の星空が遥か北の一点を中心に回転していることに人類が気づいて以来、われわれの心の奥深くに住み着き、精神史の中に隠れた流れを形成してきた「極の元型」の記憶。それは天の、地球の両極にまつわる観念を集積し、古今の宗教やオカルト哲学に神々しいヴィジョンを提供する一方、異端科学のさまざまな思想を編み上げてきた。そして、かつてナチスを優越人種の幻想に駆り立てたのも、この「極の元型」がもつ強大なエネルギーだった。…奇想科学者キルヒャー、神秘的音楽の伝統などを研究対象としてきた博識ゴドウィンが人類の精神史の中に埋もれた「極」の伝承を堀り起こした画期的著作。
目次
第1部 ヒュペルボレアにて
第2部 北極光
第3部 隠された地
第4部 復活のアルカディア
第5部 傾斜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
3
「北極」とあるが、正しくは「極」の形而上学/秘教/オカルト(極の「伝統」「元型」)の博物誌。南北極、霊的極、天の極などなどについて、古今東西の思索と象徴と物語を縦横無尽に紹介する。包括的、理論的な考察はほんの僅か(本書はそれをやっていると「序文」は言うのに)。著者の専門は音楽史学、とくに「異界の音楽」で、その研究の過程でこちら方面への造詣を深めたというわけ。まぁすごい博識! なお、本邦訳にはごく小さく「極地の神話・科学・象徴性、ナチズムをめぐって」と副題が添えられており、実はこちらの方が原題に近い。2017/12/05
∃.狂茶党
0
詐欺師と、本当に信じてる人は共に、同じ領域を見たのだろう。 それは想像力の領域だ。 想像力の海から、何かを汲みあげるには、知性と慎重さが必要だ、水が上昇して溢れ出すと、世界は姿を変える。 想像力は、科学や芸術の源泉でもあります。科学や芸術もまた、時として、無意識の物語に絡め取られてしまいます。 私たちは慎重さを求められています。 とりわけ、我々の特権が奪われた(ようとしている)と考え始めたら危険です。民族主義者は、我々は不当な犠牲を強いられている、私たちはこの被害者の境地を脱すると告げ始めます。 2021/07/04