内容説明
1616年、検邪聖省の最初の詮議を受けたガリレオの地動説。巧智にたけた自然学者は何とか切り抜けたというのに、反乱罪で獄中にあったユートピストが、頼まれもしない弁護に乗りだした。古往今来のコスモロジーを動員し、自然の真理は聖書の真理にそむくはずもない、と。危険思想家が危険思想を擁護した世にも危険な論証のすべて。
目次
第1章 反ガリレオ説
第2章 親ガリレオ説
第3章 第4、第5章の回答へと導く三つの前提条件
第4章 第1章で提示した反ガリレオ説への回答
第5章 第2章の親ガリレオ説で提示された論題をいかに大切に扱うか
感想・レビュー
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paumi
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私はこの本を読んで感心した。何に関心したかというと、そのしっかりと段階を踏んだ論理的な弁明である。日本人は特に、こういった段階を踏んだ論理的な議論は苦手だなと感じる。どうしても感情的になったり、相手を言い負かすことが目的になってしまったりしているのをよく見る。インターネットでは常に議論のようなものが起きているが、ああいうものは議論ではなくただの言い争いであり、ヒステリーだ。この本はまず、最初に目的をきっちり提示する。それはガリレオの弁明だ。その次に親ガリレオ派、反ガリレオ派の意見をまとめる。2015/09/29