内容説明
“狂気”という名の最新作・アカデミー賞外国映画部門チェコ代表作品『ルナシー』。アニメーション作家・シュヴァンクマイエルの最新作をはじめ、全貌を読み解くオフィシャルガイドブック。シナリオ完全版収録。
目次
『ルナシー』スタッフ・キャスト
インタビュー ヤン・シュヴァンクマイエル
インタビュー パヴェル・リシュカ
インタビュー ヤン・トシースカ
インタビュー アンナ・ガイスレロヴァー
ルナシー解剖対談(布施英利×村田朋泰)
シュヴァンクマイエル、その可能性の中心
『ルナシー』シナリオ完全版
プロダクションノート ヤン・シュヴァンクマイエル
“芸術は死んだ”宣言
“芸術は死んだ”か?
狂気の種子と「女性」の謎
タールと羽根の物語
『ルナシー』に見るサドの思想
ユートピアをもとめる終わりなき闘い
UNDERCOVER 高橋盾インタビュー
シュヴァンクマイエル全作品解説
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー
対談 野田凪×植原亮輔 シュヴァンクマイエル体験録
ヤン・スヴァンクマイエルと仮面劇場の時代
ヤン・シュヴァンクマイエル年譜
ビデオグラフィー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumitaka
1
たぶん俺が「スターリン主義」という言葉を初めて知った本なんだよな。「スターリン」は別のところで知った。ホンザの言う「自由を守るどころかより強い操作に逆用される形骸化した民主主義の仕組み」(p. 16)について、俺が理解するのは数年かかった。「商業主義によって画一化が進む」というのは意識する人すら少ないのではないか。収録されている論文は主に『ルナシー』を取り扱っている。あれはそういや原作があるのだろうか。最後に役割を果たす院長の苗字「クルミエール」について調べてみたがよくわからなかった記憶がある。2019/10/02
秋津
0
チェコのシュールレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の『ルナシー』公開後に出版されたガイドブック。監督や主な出演者のインタビュー、『ルナシー』以前の作品の紹介、様々な人による批評などなど、コンパクトながらも内容が盛りだくさんでよい本です。「想像力がある限り、世界は完成しない」という言葉に表される、シュヴァンクマイエルさんの作り続けることへの熱意が窺えるなと。私事になりますが、学生最後の月に新潟のシネ・ウインドで『ルナシー』を観て、新しい生活に対してすさまじい不安を覚えたのももはや思い出。2015/04/19