内容説明
40年以上に及ぶ推理小説渉猟の結論。古典から最新刊まで、正直すぎる「名作」案内。
目次
第1章 いかにして私は推理小説嫌いとなったか
第2章 素晴らしき哉、『ロートレック荘事件』
第3章 「旧本格」の黄昏と古典化
第4章 松本清張、長編はあかんかった
第5章 SF「小説」は必要なのか?
第6章 ああ、愛しのバカミス
第7章 人気作家はどのような人たちなのだろうか
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年茨城県生まれ。東京大学文学部英文科卒、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。1990‐92年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学に留学・大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、比較文学者。著書に『聖母のいない国』(青土社、サントリー学芸賞受賞、その後河出文庫)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
169
小谷野さんという方は独特の考え方をされる方で、読んでいて最近の人気作家をばっさばっさと切りまくっていてファンの方が読むとかなり頭にくるのではないでしょうか。私はこのような考え方もあるのかなあという感じで、読み方の差があることは当然であると思っています。それにしてもけちをつけるからにはそれだけかなりの本を読んでいるということでしょう。かなり特異な見方をされる評論家さんであります。北村薫さんは評価していますが、京極夏彦、東野圭吾はだめという感じです。2015/12/16
スパシーバ@日日是決戦
118
{2015年} この設定やトリックはあり得ないと難癖をつけ一刀両断。読み手(初心者から鉄人まで、好みのジャンルや読んだ冊数など)により許容の範囲は異なる。著者の評価のみならず、雑誌や新聞などの評論家の書評もあくまで参考にとどめるべきであり、決して鵜呑みにしてはいけない。ネタバレ全開ゆえ、あの作品を読んでみたい!という方は決して読まないで下さい(警戒発令)。さらに、出版業界の売らんがなの姿勢「煽り」も要注意です(オビに騙されたこと数知れず)。2016/01/31
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
82
図書館で見つけて思わず借りた。小谷野敦の批判的推理小説ガイド。SF小説やファンタジーにも触れる。実は私も推理小説やファンタジーが苦手で、ほとんど読んでいない。少年時代は名探偵ものが好きだったり、古畑任三郎みたいなものは好きだったり、筒井康隆の『ロートレック荘事件』に驚いたり、筒井康隆以外のSFは苦手だったりと、共感する事は多かった。この本を読んで、著者が『ロートレック荘事件』と並んで一位に推す西村京太郎『天使の傷痕』はいずれ読んでみたいと思った。2015/08/25
白椿
72
これはネタでしょうか。まさか本職の作家さんともあろう方が、本気でこんなことを書いているとは思いたくないんですけど(苦笑)。これは作者さんの好き嫌いをただ述べているだけであって、書評ですらないような。当然のように『読み飛ばした』と仰っている時点で、評論しちゃダメでしょう(笑)。しかし、何よりひどいのが『ネタバレ』ということに対する配慮が皆無なことです。それさえなければ「偏った見方をする方がいるなぁ…」という感想で終わるのですが。挙げている作品に対する感想も悉くピントがずれているので、ある意味笑えるんですが。2016/02/05
ばりぼー
62
皆さんのレビューで、「『このミステリーがひどい』がひどい」という予備知識はありましたが、つい読んでしまいました…。何が酷いって、「ネタバレ忌避はしない」と堂々と宣言して、古今の名作の犯人からトリックまでバラしまくっていること。漫才の愛あるツッコミとか毒舌芸を期待していましたが、根拠や基準のはっきりしない単なる悪口でした。直木賞のとれない人気作家に対して、「ただまあ阿刀田高のように、面白い小説など書いたことがないのではないかと思われる人に酷評されるのだから、たまったものではない」って、どの口が言う(笑)。2016/05/23