内容説明
世界遺産登録を目指した県民、国民の思いがついに実を結んだ。養蚕、製糸の技術開発に情熱を注いだ幕末から明治の先人たち。4半世紀に及ぶ登録に向けた水面下の努力と粘り強い活動…。登録への道のりは決して平坦ではなく、険しく、波乱に満ちていた。多くの困難を知恵と汗で克服し、偉業を成し遂げた記録は、小説よりドラマチックだ。上毛新聞が連載した登録に至る軌跡のすべて。
目次
序章 輝き始めた近代化遺産(製糸場ひっそり停止;成長の「証人」初調査 ほか)
1章 技術立国の夜明け(歴史動かした3先人;工場建設「異存なし」 ほか)
2章 花開いた技術融合(民営化で生産性向上;改革重ね経営近代化 ほか)
3章 世界変えた技術革新(蚕糸業に二つの脅威;連帯繰糸で少人数化 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
13
オールカラー。碓井社は、安中市に養蚕農家を中心に、1878(明治11)年に組織された県内初の製糸の協同組合(9頁)。初代所長尾高惇忠(32頁)。1855年に製造法の指南書中居屋重兵衛は「砲薬新書」を出版(46頁)。中上川彦次郎は福沢諭吉の援助で英国留学。ロンドンは幕末のようだ。アメリカの進取の気性に発展の可能性を感じた模様(72頁)。 所長に慶応卒の津田興二が就任した時期もある(73頁)。横浜に原富太郎が名園三渓園を造営(77頁写真)。2014/11/08
Sanchai
3
世界遺産登録に至るまでの経緯、関係者の努力だけでなく、幕末から昭和に至るまでの蚕種、生糸輸出による日本近代化の歴史が、かなりコンパクトに、しかもわかりやすく書かれている。さすがは新聞の特集記事のダイジェスト版だと感心する。一方で、この本を読んでいて、僕が昔お世話になった方が昨年お亡くなりになっていたのを知った。自分の不明が恥ずかしくなった。2014/12/04