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内容説明
絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても彼を見つけ出せ!」出版社社長に命じられた編集者ダビッドは、その作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』をふと読み始めるのだが…。いったいトマス・マウドとは何者なのか?2つのストーリーが交錯する時、衝撃の事実が明らかになる!驚異のストーリーテラーが放つ、一気読み必至の長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
82
図書館で長い間待った甲斐のある素晴らしい作品でした!翻訳も自然で読みやすく、スペインの小さな村が舞台で登場人物はスペイン人ですが、日本人が書いたと思えるほどです。ベストセラーの作者を探すという本好きには堪らない設定ですが、ミステリーとしてよりも、人間ドラマとしての魅力が勝っていました。作者25歳の時の処女作だっていうのが、とても信じられません。2010/09/30
ntahima
57
謎の作家を探す旅。同系の話としてはJ・キャロルの『死者の書』、篠田節子『聖域』があるが何れもダークな仕上がり。それに比べ本作はスペインの空のようにカラッと晴れている。手掛かりは人口六百余の僻村に住むこと、6本指であること。印象的だったのは謎の作家の隠れ処である地下書斎。アレクサンドリア図書館、迷宮図書館、バベルの図書館それにミスカトニック大学等、暫し迷ってみたい魅惑の宝物庫は数あれ、金文字革装丁の稀覯本等一冊もない螺旋の図書館が一番居心地良さそうだ。唯一人の為に書かれた世界的ベストセラー『螺旋』も又良し。2011/07/31
さゆ
34
分類番号は963.おそらく児童書以外でスペインの小説を読むのは初めてかと思います。もう少し、削ぎ落せるような気もするけれど、面白かったです。でも結局彼は、棚からぼた餅みたいに解決させてもらったのね。だけど、おもしろかったよー!ジャックさん、ありがとう!2010/11/13
紫 綺
34
こちらと思えばまたあちら、あちらと思えばまたこちら、と牛若丸的ストーリー展開で翻弄され、しかも文字の小さい600頁オーバーの大長編。正直、挫折しそうになりました。でも最後はすべてが一点収束して、感動と安堵感をもたらしてくれました。どうなることやらヒヤヒヤしどおしで、結末が非常に気になる作品です。お薦めの財布にジャックさん、感謝です。2010/10/23
よむよむ
33
初スペイン作品。謎のベストセラー作家を探しに、田舎町へやってきた編集者。個性あふれる住民の中に果たして『彼』はいるのか?ワクワクしながら読み進むと、思いがけないラストが・・・ 平行して語られるフランの物語はどう絡んでくるのか楽しみだったが、麻薬の件はどうにも辛くて飛ばしがちだった。やはりあの二人のいたわり合いが胸に響く。劇中劇の二つの物語も秀逸だった。今後が楽しみな作家さんです。<読んだ方にお願い!→>2010/11/10