感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
130
まあまあ。要するに差別的行動が社会からなくなったとしても、その人の性質を決定づけるステレオタイプさが人の意識と行動に影響を及ぼすということがちょっとしたドキュメンタリー形式で語られる。著者による疑問の発祥から丁寧にその仮説を検証していく過程が見られるというのは、この手の本ではなかなか珍しいスタイルかも。まあ結論だけわかればいいんだけど、どういう実験をするのが適切なのかを考えるのがきっと研究者の白眉なんだろうなあと。2020/07/06
lily
91
ステレオタイプ自体が賢くない不健全な考え方であり、勉強の仕方を柔軟に試みればいいだけであり、実験も学業の成績に拘泥していることがステレオタイプだ。自分は自分、堂々としていればいい。変化できないことは受け入れて、変えられることは柔軟な思考力でカラフルな世界を謳歌するだけ。2021/04/08
Koichiro Minematsu
53
私もこのある種のカテゴリーで見る固定観念「ステレオタイプ」で物事をみていると痛感させられた。その人の基礎と思っているアイデンティティだからこそ違いがあるわけだが、同じ置かれた環境で見ると、ただの違いを分断にしてしまう。もっと複数のアイデンティティを探究する努力を身につけたい。2021/11/25
アナーキー靴下
49
他人に対して抱くステレオタイプではなく、自分を脅かすステレオタイプ脅威の本。自己暗示や言霊など経験的に知っていたが、ここまで如実に科学的結果を出されると、常に葛藤しワーキングメモリ損傷状態の私の余命はいかばかりかと恐ろしい。本書は集団の中で実力を発揮できないマイノリティに対し、どうアプローチしていくか、ということが主題で、自分自身での解決法は提示されていない。だからもし誰かの悩みを察知したら、悩みそのものを打ち消そうとせず、別の切り口でプラスイメージを伝えてみようと思う。信頼は相互のメリットに繋がる。2020/12/15
ゲオルギオ・ハーン
24
ステレオタイプと聞くと人種や性別、国籍などに対する思い込みまでしか考えていなかった。本書はさらに踏み込んでそうしたステレオタイプが主に学力に与える影響を調べている。アメリカでは女性は数字が苦手、黒人は学力が低いというステレオタイプ(スティグマとも表現されている)があり、それが心理的な影響となって結果に反映されているのではと仮説をたてる。性差や人種の差が出ないように調整された試験です、としてテストをしてみると差が出なかったという。2021/10/13