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出口なお―女性教祖と救済思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 318p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862483775
  • NDC分類 178.92
  • Cコード C0214

内容説明

無学文盲の出口なおは、極貧生活の中である日突然神がかりをし、激しい神の言葉を「筆先」という形で民衆に伝え始めることになる。大本教の誕生である。なおが生きたのは、幕藩体制の動揺・解体から明治維新をへて、日本の近代社会が成立し、さらにいったん確立した体制の動揺と矛盾が誰の目にも明らかになった時代である。しかし、天皇制国家による国民意識の統合が、「文明開化」や「富国強兵」などの驚異的ともいえる達成を成し遂げていた、そのような時期になおが終末観を抱き続けたことは、驚くべきことである。

目次

1 生いたち
2 苦難の生活者として
3 内なる声
4 告知者として
5 零落れた神たち
6 出会いと自認
7 近代化日本への憤激
8 天下の秋

著者等紹介

安丸良夫[ヤスマルヨシオ]
1934年富山県生まれ。専攻=日本思想史。京都大学大学院国史学専攻博士課程修了。一橋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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belier

3
明治初期、貧困生活に喘ぎながらも篤実に生きていた老女が突如とした神がかりとなり、新宗教の教祖となった。それが大本の教祖出口なお。民衆史が専門の著者がこの女性の生涯を追い、社会的な背景と宗教思想を描き出している。学術的にもしっかりした伝記だが、著者のなおへの深い共感があり、名著となっていると思う。新興宗教の誕生のさまが垣間見れたくだりはスリリングだった。なおにはローカルな民間信仰からユートピアをイメージし、明治の天皇国家体制さえ批判する独自性があった。飛躍かもだが大江健三郎の小説がそれと通ずる。興味深い。2023/02/26

ともゑ

0
大本の開祖、出口なおについて。苦しい生活の果て「神がかり」。明治〜大正時代にかけて終末論的で世直しを願う思想で信者を集めたという。明治維新後、日本が急成長を続けている一方でこうした宗教が受け入れられたということ。戦前の日本の社会背景についてや、宗教が生まれて発展していく過程について考える事が出来る一冊だった。2012/06/01

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