内容説明
リベラリズムの「リベラル」も“自由”、「自由主義史観」も“自由”、「自由民主党」も“自由”…お互いの“自由”が衝突しあって、話がかみあわない!そもそも“自由”の定義って何?自己責任、格差、監視社会、市場原理などのトピックに触れつつ、“自由”の概念の変容の軌跡を追う、注目の論考。
目次
第1章 「自由」を定義する?
第2章 「自由主義」の起源
第3章 自由のための「国家」
第4章 「法」と「自由」
第5章 精神的な「自由」
第6章 自己再想像としての「自由」
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究博士課程修了(学術博士)。金沢大学法学部教授。文学や政治、法、歴史などの領域で、アクチュアリティの高い言論活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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popcorn
9
「自由」がこれまでどのように捉えられてきたのか、歴史、宗教、憲法、政治哲学など様々な観点から述べられています。「自由」を厳密に定義することは不可能ですが、だからと言って「自由」について何も考えないというのは怠慢のような気がします。何らかの定義を軸にすれば「自由」にまつわる議論についていくのに有益だと思います。私は、「自由」という概念に内在する逆説(束縛があってこそ自由であるということ)に着目し、「自由」とは、自分の幸福に資する束縛を再帰的に選ぶことであると定義してみました。みなさんはどう定義しますか?2013/12/03
さえきかずひこ
5
自由が大切なものだとは思うけれど、自由っていったい何なのかがよく分からない読者に、その厄介さと様々な問題を教える一冊。精神的な自由を扱った第5章が楽しい。キリスト教の自由意志論に遡り、パウロ〜アウグスティヌス〜ルター〜カント〜ヘーゲル〜マルクスといった思想家たちを通して、自由の観念の変遷をたどってゆく。とくにカント的自由について批判的に解説していて、そこはとくにためになった。議論のタネがたくさんこぼれているので、読書会の課題図書にも良いかもしれない。2018/03/15
ちょえ
3
「自由」について良心的な解説本。そもそも自由は「奴隷的な拘束を受けない」というごく基本的な自由を獲得するため、「近代」が構想される段階で希求された。現在では経済的な「自由主義」は選択肢の自由を確保するためには、経済力が必要なことから「大きな政府」「公共投資」などを志向する。一方、リバタリアニズムは政府を最小化し何でも(喫煙や薬物、同性婚など)自己責任で決められるようにするべきとする。自由を「消極的自由」と「積極的自由」に分けて、内面の自由(積極的自由)の成り立ちも紹介されている。2013/06/16
くれは
2
タイトルには「自由」を掲げていますが、広く政治哲学史の流れを把握するのに役立つ良書だと思います。内容は同著者の『みんなのバカ!』『「不自由」論』で展開された議論を改めて1冊に整理し直したもののようです。ほぼ同じことが繰り返されていますが、3冊併せて読むとより見通しが良くなるかもしれないです。以下は、必ずしも本書の内容に即してないけれど、読後に考えたこと。2022/02/14
Hisashi Tokunaga
0
ホッブスの自己保存から自然観への説明が簡潔で分かりやすかった。仲正氏の多作ぶりに呆れてます。(2013・3記)