内容説明
20世紀文学の描く老いと死を読み解く、文学エッセイ。
目次
害虫の生―カフカ『変身』
恥辱死―カフカ『訴訟』
失業者―カフカ『失踪者』
拷問死―カフカ『流刑地にて』
過労死―カフカ『城』
死刑囚―カミュ『異邦人』1
幸福感―カミュ『異邦人』2
ふらつき―ナボコフ『断頭台への招待』
決壊―セリーヌ『なしくずしの死』ほか
華やぐ余生―シュルツ『砂時計サナトリウム』ほか〔ほか〕
著者等紹介
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年1月27日、岡山県生まれ。兵庫県出身。東京大学大学院人文科学研究科博士課程を中途退学後、熊本大学文学部を経て、立命館大学先端総合学術研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がいこつ
1
カフカ、カミュ、プルースト、ベケットなどの作品を、死が決定された瞬間から実際に死にゆくまでの時間、副題に合わせていえば終末期の時間に焦点をあてての読解を行った文学論集です。その視座の根本にあるのは、そうして死を待つばかりの時間にこそ、かえって人間らしさというものが最大限に現れるのではないか、という疑問であり、最末期治療における安楽死からホロコーストにまでいたる幅の広さを持っています。また、扱われている作家が全て移民である点も、別の角度からターミナルライフを含意しているように思えます。2011/11/20