内容説明
1950年代、赤狩りの嵐吹き荒れるアメリカで、左翼脚本家・監督・俳優たちは、いかに戦い、どのような作品を残したのか。隠された歴史を丹念に洗い出し、克明に記録する、レッドパージ研究の完全決定版。
目次
第1章 闘いの始まり―チャップリン、ハリウッド・テン、HUAC
第2章 ジョン・ガーフィールドと「彼の」脚本家―クリフォード・オデッツ、エイブラハム・ポロンスキー
第3章 ある「透明人間」の人生―ベン・マドウ
第4章 保護者の栄光と悲惨―フィリップ・ヨーダン
第5章 あなたは現場にいるのです―『ユー・アー・ゼア』トリオ
第6章 『拳銃の報酬』―ハリー・ベラフォンテとポロンスキー
第7章 協力的証言者―エリア・カザン
第8章 『ローマの休日』の脚本家―ドルトン・トランボ
第9章 『黒い牡牛』とロバート・リッチ―キング兄弟、トランボ
第10章 ブラックリストの廃棄―カーク・ダクラス、オットー・プレミンジャー、トランボ
終章 ゴードン・ヒチンズ・インタヴュー
著者等紹介
上島春彦[カミジマハルヒコ]
1959年長野県生まれ。映画評論家・編集者。国学院大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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£‥±±
6
マンガ「赤狩り」を読んだので再読。漫画も面白いがやはり本書籍の方が格段に面白い。裏切りや消耗して若死にしてしまった映画人等、悲惨で汚い話ばかりかと思いきや不屈の精神やある種の茶目っ気を持って苦しい時代を乗り切る人間性も描かれており読後感も良い。本書で取り上げられた映画作品を観たいと思う効能も高い。評者には素晴らしい俳優、ジョー・ガーフィールド作品を数作観る切っ掛けとなった。2019/08/29
saladin
3
ハリウッドの赤狩り体制下の脚本家達が、如何にしてこの苦難の時代を潜り抜けたかをメインに書かれている。特に著者が力を入れて取り組んでいるらしいエイブラハム・ポロンスキーに関する章が面白い。ブラックリストに載った彼が、NYでTVシリーズ『ユー・アー・ゼア』の脚本をアーノルド・マノフやウォルター・バーンスタインら同じブラックリスティーと3人で執筆し(もちろん”フロント”を使って)、好評を博したことなど、痛快ですらある。彼らを起用したプロデューサーのチャールズ・ラッセルに対する謝辞は感涙ものだ。2020/07/16
takao
2
ふむ2022/06/01
tkm66
1
「ケツに火がついた時に人間はどうするか」って話。好著、だった筈。2007/04/18
がんちゃん
1
ドルトン・トランボが有名なブラックリスト。載った人もそうでない人も関わったと思われるフィルム(映画)をキーに各々の対応と評価を作者なりに示してくれる。今の香港の情勢が気になるが、いつの時代にも思想統制の嵐は吹き荒れる。それにしても、(第二次対戦)戦前戦中にアメリカで共産主義がかなり勢力を持っていたことがわかる。共産主義自体よりもそれを抑圧的に利用する人間の方に問題があるのは明らかでしょう。2020/08/11