「備中岡山藩」の世界 - 岡山本支藩の研究

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「備中岡山藩」の世界 - 岡山本支藩の研究

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  • サイズ A5判/ページ数 304p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784860692056
  • NDC分類 217.5
  • Cコード C0021

出版社内容情報

備前一国を領有する岡山藩は、備中に飛地領と支藩領を持っていた。単に岡山藩と言えば、備前の、本藩が想起されるであろう。しかし本書が対象とするのは、岡山藩のいわば周辺部、すなわち備中領であり、備中に設定された支藩領である。それを仮に、「備中岡山藩」と呼んでみた。中枢部でないだけに、そこでは岡山藩の諸問題が却って顕わになっているかに見える。それを「世界」という語に込めてみた。

第1部 近世前期の岡山藩政―備中浅口郡に見る
第一章 岡山藩士国枝平助とその時代―一七世紀後半の岡山藩政と備中浅口郡―
一 はじめに
二 美濃・豊後から備前へ
三 備中代官から浅口郡奉行へ
1浅口郡の問題性 /2寺社整理と神職請 /3領民教化と褒賞 /4新田開発
四 延宝期の浅口郡
1洪水 /2神職請の継続 /3神社の再興と創建 /4池普請と七島移住
五 町奉行、 そして改易
六 おわりに
補論1 明王院文書 「天祐和尚御覚書」 について
一 神職請から寺請へ
二  「天祐和尚御覚書」 の概要
三 注目される記述
補論2  『備中誌』 の 「寛文五年備前領神道執行」 をめぐって                  ―岡山藩領における浅口郡の位置―
一 はじめに
二  『備中誌』 浅口郡の記載
三 岡山藩文書、 及び 『備中誌』 窪屋郡の記載
四 明王院文書の記載
五 地頭上村日吉神社の棟札
六 備前牛窓村の先行事例
七 おわりに
第二章 浅口郡岡山藩領の儒葬墓について
一 はじめに
二 岡山藩が示した葬祭法式
三 現存する墓石の事例
四 墓石事例と葬祭法式
五 おわりに
補論3 村代官と父の墓
一 はじめに
二 谷田氏父子の墓、 奉公書、 地名 「代官屋敷」
三 佐治儀右衛門父の墓
四 おわりに
第2部 岡山支藩と本藩
第三章 岡山三支藩の成立と展開
一 はじめに
二 先蹤としての児島藩
1成立と所領の操作 /2播磨宍粟への転封と断絶
三 二人の池田信濃 (守) と丹波守
四 寛文十二年の分知
五 貞享元年―鴨方藩への朱印状下付
六 宝永期の動向
1鴨方藩の自立 /2生坂新田藩への試み
七 附人と家臣団
1家臣団の成立と構成 /2附人の動向 /3附人を出す家
八 鴨方藩の職制
九 岡山本支藩と幕府
1両支藩の江戸屋敷 /2 「御控帳」 に見る生坂藩 /3両支藩の諸役 /4本支藩の連携
十 おわりに
第四章 鴨方藩の 「直高」 をめぐって
一 はじめに
二 鴨方藩直高への疑問
三 直高の設定と 「惣直高」
四 貞享年間における直高の調整
五 給知高としての直高
六 おわりに
第五章 いわゆる生坂藩領の変遷について
一 はじめに
二 寛文十二年の分知
三 宝永五年以前
四 宝永五年以後
五 明治三年の立藩
六 預所処理をめぐる後年の疑問
七 おわりに
第六章 新田藩の 「高」 ―その形式と実態―
一 はじめに
二 児島藩の二重帳簿
三 鴨方藩の二重帳簿
四 生坂藩領知高の振り替え
五 基本としての三ツ成
六 おわりに
第3部 幕末・維新期の鴨方藩
第七章 鴨方陣屋について
一 はじめに
二 絵図に見る二つの施設― 「御用場」 と 「御陣屋」
三  「御用場」 設置の時期
四 幕末期の陣屋
五 明治初年の陣屋
六 おわりに
第八章 鴨方藩の農兵隊と幕末の動向
一 はじめに
二 文久三年矢吹龍平の建言
三 農兵隊と鴨方陣屋の周辺
四 農兵諸隊の構成と性格 
五 幕末史における鴨方藩
六 おわりに
第九章 幸右衛門と勘左衛門―慶応四年春・鴨方藩農兵隊断章―
一 はじめに
二 出陣
三 姫路城に入る
四 京都妙覚寺に入る 付・京都藩邸のこと
五 京からの手紙
六 待機の日々
七 おわりに
第十章  「有孚隊」 と神職の意識
一 はじめに
二 有孚隊の概略
三 有孚隊で注意されること
四 社軍隊再考
五 おわりに
〈史料編〉
おわりに
あとがき


 備前一国を領有する岡山藩は、備中に飛地領と支藩領を持っていた。単に岡山藩と言えば、備前の、本藩が想起されるであろう。しかし本書が対象とするのは、岡山藩のいわば周辺部、すなわち備中領であり、備中に設定された支藩領である。それを仮に、「備中岡山藩」と呼んでみた。中枢部でないだけに、そこでは岡山藩の諸問題が却って顕わになっているかに見える。それを「世界」という語に込めてみた。

本書は大きく3部により構成されている。
第1部は、備中領のうち浅口郡に焦点を据えて諸問題を見てゆく。備中には特有の問題があり、徹底した取組の結果として、宗教政策を中心に他郡とは異なる様相が出現した。
第2部は、従来正面から扱われず、それゆえに各種の混乱が生じている岡山支藩について、基礎的な史実を明らかにしつつ、本藩との関係について考える。
第3部は、幕末・維新期の鴨方藩と現地の動向に照明を当てる。