感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
94
54人のスピーチが掲載されている。多くが、女性差別や人種差別に対して闘う強い演説であり、それはそれで感動的なんだが、私はむしろ、より普遍的な内容のものに心動く。環境保護を訴えるカリス=スズキさんやグドールさん、核兵器廃絶運動のベアトリス・フィンさん、「アラブの春」を牽引したマフフーズさんなど、社会の普遍的な価値を訴える時に、女性の持つ思慮深さや強い意志が、より強い説得力を持つような気がする。本書出版後のコロナ禍の社会に対して、エリザベス女王とメルケル首相が発した感動的なスピーチも、新たな候補になると思う。2022/07/09
くさてる
27
エリザベス1世(19世紀初頭)からマヤ・リン(2018)まで。世界のなかでなにかを訴えた女性たちの代表的なスピーチを紹介した一冊。時代背景や政治的な思想が分からないと 内容がつかめない物もあるし、個人的には人選にも思うところがある。けれど、それを補う丁寧な解説とイラストがふんだんに使われた美しい構成のおかげで最後まで読むことができた。2022/09/07
サケ太
16
刺激的な書籍。様々な時代でスピーチを行ってきた女性たち。解説とイラストのおかげで入り込みやすい。ここから掘り下げられる場面も多いと感じたので、関連書籍は読んでいきたいと思う。2022/09/10
スゲ子
4
54人の女性による歴史的なスピーチ集「女性が大勢に向けて話をする」って昔も今もかなりリスキーなことで、もうそれだけで勇敢だし尊敬する。1番好きなのはヴァージニア・ウルフ。「無意識の自己検閲」についての話なんだけど詩的でスリリングでちょっとホラー味もあってまるで一編の小説のよう。「家庭の天使」殺人事件!「この件を法廷に持ち込まれたとしたら正当防衛だったと弁明するでしょう。彼女を殺さなかったら、彼女が私を殺していたでしょうから。彼女は私が書いたものから心臓を抜き取っていたでしょう」2023/06/20
Nat Hat
4
男性的に作られた社会の中で女性が同じように成果を出しても思うように評価されない状況は今よりも昔の方が遥かに厳しかったはず。その中で声を上げ、批判にも耐えて自らの考えを表明することで社会に変革をもたらしてきた女性のスピーチ集。それぞれの人が辿った女性ゆえの苦難の歴史が解説されていて、それがスピーチの言葉の重みを感じさせる。いつの世も不遇をはねのけた力強い意思が人を感動させる。2023/06/11