内容説明
アフガニスタンのカブール、カンダハル、更に昔から蓮の花の都とされたパキスタンのペシャワール、この近辺に近代国家が定めた国境を国境と認めないように幾多の遊牧の部族が住んでいる。宗派は色々あるがいずれも敬虔なイスラム教徒であり、敵には勇猛果敢な聖戦士である。当然のことながら友愛厚く誇り高い。農耕定住の日本から旅すればことごとくが違い、たちまち眩暈に陥る。シルク・ロードの自然とイスラムの民を吹き過ぎる、豊潤にして苛烈、悠遠な音調につつまれた物語の数々。
感想・レビュー
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凛
5
価値観が違いすぎる。これは想像力を遙か超越してる何かだ。パキスタン北部とアフガニスタンに住まう人々の物語。イスラムだけでも馴染みが無い上に、多民族国家である国の物語は日本人が多視点で描く群像劇と比較するのは児戯に等しいといえるほど、理解しがたく生命そのものを感じる。下手なSFより幻想的に翔べる。古本「雪山坊」曰く『まるでゲリラのような風貌と現代思想のようなノンフィクションのようなエッセイのような物語のような独自の文体にはまりました。枯れた、乾いた、まさに風のような読後感!』さすがトレヴィル。凄い物を読んだ2013/06/13