内容説明
鈴鹿峠に住む山賊は、新しい女房をさらってきた。だが、彼女はどうも他の女たちとは違っていて、彼のことを恐れず、そればかりか…。坂口安吾の『桜の森の満開の下』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られる、大人気イラストレーターしきみによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第13弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
坂口安吾[サカグチアンゴ]
明治39年(1906年)新潟県生まれ。東洋大学文学部印度哲学倫理学科卒。アテネ・フランセにも通う。1955年死去
しきみ[シキミ]
イラストレーター。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
207
ホラーだわ!ホラーだよ!この女怖いわ!首が飛び回ってる夢を見そうだよ~。怖いけど、しきみさんのイラストのおかげで怖さを半減してくれたよ~。ラストはなんか切ないね。落語のネタのような話。落語家のしゃべりでこの物語を聞いてみたい。2021/06/03
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
162
おこないがおぞましい分美しさがいや増すならよろこんで鬼になりましょう。散る花びらが夜に溶け暗闇がにわかにあかく染まって血の色だとよろこぶ。手にはしたたる生首一緒にあそびましょう清らかに。そんな生きものは魔のものと知りながら手をとってしまうだろう、きっと何度でも。連れてってさくら、さようなら退屈なじんせい。ねえ消えてしまいたいのよ。2020/03/29
美紀ちゃん
109
山賊の女房は8人。1番新しい女房の夫を切り殺し、その美しい女房を自分の山に連れて帰り、その美しい女房の言いなりで、古い女房を6人一気に斬殺。びっこの古い女房は殺さずに残す。しかし、サイコパスなのは新しい女で、我儘放題。京に移り住み、首をコレクションする。集めた首で、人形遊びのようなことをする。首遊び。恐ろしい。山賊は都ではなく山で暮らしたい。女もついて行くと言う。真実なのか? 再び女をおぶって山に帰る途中、女の正体がわかる。これは激しい恋愛ストーリー。ラストが美しすぎる。グロい話なのに美しい。2021/03/31
アキ
93
桜の下で酒を呑んだくれて宴会をするようになったのは江戸時代からで、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になるのは能にも演じられている。鈴鹿峠の桜の森の花の下は気が変になるところとして知られていた。そこに住む山賊は8人目の女房をさらい、その亭主は殺してきました。その女は、残りの女房を次々に指差して斬り殺すよう命令しました。山での生活に飽きて都で住むようになるも、山賊は都に馴染めず、女の命ずるまま首を斬り続けるのに飽きて、山に帰ると決めました。あの桜の森の下を通って。絵と文が相乗効果を生む美の世界。2020/10/11
寂しがり屋の狼さん
89
【乙女の本棚】シリーズ14冊目。坂口さんは『夜長姫と耳男』に続いて2作目、素敵な押し絵は同シリーズの『夢十夜』や『猫町』などでお馴染み「しきみ」さん。大好きな桜と素敵な挿絵💓幻想的な作品です。桜の木の下に立つのが少し怖くなります(*^.^*)2020/04/29