電撃文庫 ブギーポップ・オーバードライブ歪曲王

上遠野浩平

アスキー・メディアワークス（1999/06発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 321p／高さ 15cm
• 商品コード 9784840210881
• NDC分類 913.6
• Cコード C0193

出版社内容情報

“ぼくは歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、ぼくはずっと君の側にいるだろう。”二月十四日の聖バレンタイン・デイ。都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築〈ムーンテンプル〉の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。人々に甘く囁きかける歪曲王は、すべてがねじ曲がったその世界こそ天国にいたる階段だという。そして、そこにはもうひとつの奇妙な影がまぎれていた。“やはり来たな、ブギーポップ……!”　人の心に棲む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が幕を開ける。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[いおむ]

新刻さん、すごし！改めて読むと自分が歳を取ったなぁと感じてしまった（苦笑）

2016/10/19

[ヱロ本Gメン]

歪曲王について説明不足というか、もっと歪曲王自体に焦点当ててもよかったんじゃないのかなあ。物語としては「ブギーポップは笑わない」の延長線上にあるわけだし。そういう意味で道元咲子の存在が浮いている。歪曲王という存在を分かり易く解説する為のサンプルと読み取るべきだろうか。新刻敬には更に好感を覚えたし、出番は少ないが凪のヒロイン力は抜群。ブギーポップより炎の魔女の活躍が見てみたい。ということで次巻「夜明けのブギーポップ」に期待。

2016/03/07

[読書好きのハシビロコウ]

人は誰しも、葛藤しモヤモヤと思い悩むことがあります。しかし、悩んだままでは先に進めないので、都合の良いように納得して忘れてしまうということが私もよくあります。私はこの「都合良く解釈する」というのがこの物語に照らせば認識を歪めている事なのだと思いました。そしてこの本のテーマは「自分自身で歪めてしまった考えと改めて向き合い、乗り越えていく」という事だと感じます。そしてその忘れようとした思いを思い起こさせるのが「歪曲王」であり、これが何者かというのも見どころの一つです。

2019/12/10

[ツバサ]

凄い巧みな構成。人の心残りなことを指差して突きつける。当人は痛いだろうが、それを乗り越えたら成長といえるんだろう。

2019/04/01

[アーサー・エリス]

「君の、その気持ちが黄金でないとするなら、この世に輝けるものなんか何もないんじゃないかな」　『笑わない』のキャラクターを主軸に描かれる、一歩を踏み出す物語。噛ませ感はあったものの要所で男を見せる健太郎、主役級の活躍を見せ、騒動の中で成長を見せた敬、そしてまるでヒーローのような活躍ぶりのブギーポップと、今回もキャラクターが生き生きとしていて楽しく読めたし、彼らや歪曲王が三者三様の方法で心に残った歪みと向き合う様も読み応えがある。視点の移り変わりによる読みにくさはあったが、それを差し引いてもすばらしい一作。

2018/11/13