内容説明
「さいわいなことに、雪はいずれ溶けます。はかないようですが、そこが雪のいいところです」ロッスさんは、そういって笑いました。物語作家いしいしんじが描く、さまざまな人たち、それぞれの営み。あなたは、何をする人ですか?
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966年、大阪府生まれ。京都大学文学部仏文学科卒。2000年、初の長篇小説『ぶらんこ乗り』を発表。2003年、『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁かな❁
171
タイトルや装丁が今の季節にぴったりだと思い読んでみました*いしいしんじさんの作品を読むのは4作目。今作も、いしいさんらしい童話のような不思議な短編集♪どのお話も「○○の○○さん」ってなっています!悲しく切ないお話から、ほのぼのしたお話まで色々。静かな所でゆっくり読みたい作品だったので毎日少しずつ読んでいきました!印象に残ったのは「風呂屋の島田夫妻」「警察官の石田さん」「コックの宮川さん」「似顔絵描きのローばあさん」「果物屋のたつ子さん」「ポリバケツの青木青兵」「マッサージが上手な栗」温かくて不思議な世界*2015/12/13
ねむねむあくび♪
56
図書館の本。いしいしんじさんは、物語屋さんです。大阪に生まれ育ちましたが、京都の学校に行ったのがきっかけで、京都に住むようになりました。いしいさんは物語屋さんなので、いろいろな人の暮らしの営みを、物語にすることができます。床屋さんやお巡りさん、果物屋さんに神主さん、時には生ゴミ担当のポリバケツまで…いしいしんじさんの手にかかれば、みな、物語になります。名もない人の名もない日々の営みに、名前をつけて物語にする…。それが、物語屋さんのいしいしんじさんです。(^-^)。2016/02/07
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33
図書館から**ネタバレ・童話小説**小説を読み解く読解力ではなく、絵本を読むときに使う"心の底から本能的に感じる"スタンスが必要になる物語。本作も様々な職業の"人たち"を主人公に、時には"もの"ですら主人公に登場!一つ一つのお話が輝きを放つ、宝石箱の様な短編集――『みずうみ』『ぶらんこ乗り』に次ぐ3冊目。この人の本に小学生時代に出会えれば・・・と何度思ったことか。ほわ~ん。と、した物語の様でありながら、人の業の深さ、世の中のシビアさを描き、そして、優しさ、慈しみも忘れていない。読む度に再発見がある良書。2012/09/30
かりさ
24
【再読】タイトルといい、装丁といい、薄墨色のタイトル文字、そのフォント…何から何まで丸ごと好き。ここに登場するさまざまな人々、実在しそうな錯覚を感じてしまうのだけど、そこはいしいさんの紡ぐ物語、ありそうでない世界が広がります。30のお話しがそれぞれに色濃くずっしりと重みを帯びて切々と響いてくる。素敵だけど、そればかりではないするりと入り込めない暗さや残酷さを持ったものもある。一気に読むのではなくゆるやかに流れる時間の如くその流れに逆らうことなく、ゆるりゆるりと読むのがふさわしいのかも。2011/02/01
Shinji
20
あなたは、何をする人ですか? 人はいろんなストーリーを持ってる。モノにもストーリーがある。 それぞれ存在に意義があって日々が過ぎていく…… ニヤっとしたり、重くのしかかったり、不思議な感覚の見立ての詰まった短編集でした! 果物屋のたつ子さんが良かったです。2015/02/11