内容説明
ぼくの本を初めて読む人にもわかるように書きました。しかし「詩人・評論家・作家のための~」とあるのはぼくの自信のあらわれです。決定版「吉本言語論」。
目次
1 言葉以前のこと(内コミュニケーションを考える;胎児に文字を教える;眼を閉じたままでみえたぼく自身の体験 ほか)
2 言葉の起源を考える(言葉の「自己表出」と「指示表出」;内臓にかかわる表現と感覚にかかわる表現;三木成夫さんの理論に言語論を対応させる ほか)
3 言語論からみた作品の世界(日本語の詩歌の最初の形式;片歌が最古の形式だという賀茂真淵の指摘;片歌から和歌へと移る道すじ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
薫風堂
1
「言葉を介さずに、思いや考えが伝わるわかり方を内コミュニケーションと読んでいます」(7)「言葉が指示表出と自己表出の交点だとかんがえると、言葉を一種の網の目にたとえることができます」(91)「文学作品の価値は韻律・撰択・転換・喩で尽くせる」(160) 「言葉以前のこと」、「言葉の起源」、「言語論による作品解説」。吉本言語論が平易に語られていて読みやすい。何気なく使っている言葉に改めて向き合うために。とくに「抽象的なことを伝えるために具象物を持ってくる日本語」(131)に関心。自分なりにもっと考えてみたい。2010/10/15
ドビン
0
言語美その他の吉本思想を非常にわかりやすく自身が述べた本。自己表出、指示表出などわかりにくかった概念をかなり具体的に身体論との関係でも述べている好著。2017/04/02
take
0
前半は興味が持てなかったが、後半は楽しかった。メタファーこそ最も古い日本語表現であったとする考察や、著者独自の言語論による文学批評が面白かった。あまり深入りしない内容であったので著者の他作品も読みたい。2016/03/08