シリーズ精神とランドスケープ<br> ティンカー・クリークのほとりで

シリーズ精神とランドスケープ
ティンカー・クリークのほとりで

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  • サイズ B6判/ページ数 443p/高さ 19X14cm
  • 商品コード 9784839700638
  • NDC分類 934
  • Cコード C0098

出版社内容情報

1975年度ピュリッツアー賞受賞作。

アニーは20歳で都会の喧騒を離れ、ヴアージニア州の山あいの小川のほとりに一人移り住んだ。ひたすら自然を見つめていると、素朴な常識をはるかに越えた、なにやら不条理なものが見えてくる。生命の奇怪な豊饒さ、残酷さ、美しさ。自然はなぜこれほどまでに複雑なのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

12
写真だ。そんな視点で見えてるの!という独特な世界の切り取り方。豊満な知識や引用にも心躍らされるけど、それが彼女のフィルターを通してどのように映し出されるかを見るのが何よりも楽しい。さらにこれは写真だけでなく、その写真の撮り方まで教えてくれる。本を閉じて余韻が終わったら解けてしまう通常魔法ではなく、死ぬるまで解けない永遠の魔法。本書は優れた自然科学本であるけど、それ以上に -誰かが言うように-ヴェイユ「重力と恩寵」の横に置かれるような本だと思う。1975年ピュリッツァー賞受賞。2013/09/27

きゅー

8
この作品には火という言葉が何度も出てくる。「わたしは水辺へおりて、眼を冷やす。ところが、どこを見ても見えるのは火。火打ち石ではなく、火口。世界全体が火花を散らしてめらめらと燃えている。」彼女にとっても世界とは静的なものではなく、動的なエネルギーに満ちたものであるようだ。そしてまたそれは危険なものでもあり、同時に生きるに値する美しさでもある。彼女は「固定観念とは火のない世界」とも言う。全世界が常に燃え上がるさまを夢想する彼女は流動性と革新性、一回きりの人生の脅威に魅了されているようだ。2012/12/12

不在証明

6
彼女の眼を通して伝えられる世界を一言で表すと「くっきり」だ。雫の滴りでさえ見逃さないとも言うべき眼差しは、自然の果てしなき複雑さに、何もかもが思い通りにならないことに、喜びを得、運良く立ち会えた諸々の瞬間を凝視し言葉に尽くす。特に昆虫類の生態描写等は虫嫌いの人は読めないであろうし、この本の何が面白いのかと首を傾げる人も多いと思われる(と、いうのも誤植が半端なく多いので、写植した人はこの本を退屈と見做していたのではないか)が、著者の視点は誰でも持ち得ることができるものである、という可能性。2017/05/26

Hotspur

3
必要あり読む。1975年度ピュリツァー賞。自然観察と思索を綴る本。タバコを吸い、自動車で移動する筆者と自然との間にはわずかに垣根があるように思える。自然の圧倒的な繁殖力と死を目の当たりにして「自然は『個』に少しも価値を置かない」と驚き、「わたしはクリークのほとりで、その自由な流れに身をまかせて暮らそうと思っていた。けれど、それももう限界のようだ」(283)という感想を持つに至る。しかしそれも一時で、その後も筆者はジャコウネズミを追い、寄生虫に凝ったりする。この振幅や逞しさが面白く楽しい。2020/12/26

佐々木雅弥

3
ほんとうによい本なので、ぜひ一度読んでください。おすすめ。2012/02/05

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