出版社内容情報
幸せというものは、欲ばらない時にすっとやってきて
寄り添う優しい光のようなものじゃないか。
ぼくが離婚をしたのは息子が10歳になったばかりの年だった。
本書は14歳の頃からスタートするが、回想するように、息子が10歳だった当時に遡ることもある。
小学生が大学生になるまでの間の父子の心の旅の記録である。
ぼくは父であり、母であった。
シングルファザーになったあの日から
目次
まえがきに代えて
2018 息子14歳
2019 息子15歳
2020 息子16歳
2021 息子17歳
2022 息子18歳
あとがきに代えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
227
辻 仁成は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 エッセイというよりも、私小説、父息子の物語でした。 著者は、20年もパリ在住なのに、フランス語で文章が書けないなんて思いませんでした(驚) https://magazineworld.jp/books/paper/3207/2022/09/14
mukimi
118
私も母1人子1人の世界一小さな家族で育ったから同じ小ささの父子家庭は最も気になる家庭の形であり興味津津で読んだ。親子の魂のつながりとか親の生き方を盗むのが子供の仕事とか、もし親に言われたら(反抗期の息子さんみたく)重いよ!と言いたくなるけど、父親と母親の両方を演じてやらないといけないという片親の思いを知り、これまでなら過去を振り返って感傷的になっていたかもしれないが、間も無く親になる身としてはただ静かに覚悟を深めた。のほほんとした日記のようでいて奥が深くて、愛に満ち思索に富んでいる。2023/09/24
ルピナスさん
72
多芸多彩な辻仁成氏も、家庭ではご飯を用意し、息子の話に耳を傾け、思春期に翻弄されまいと奮闘する毎日。一人の父親の公開日記として微笑ましく読んだ。父親に「何かユニバースが足りない。折角パリにいるのに何してるの?」ふふふ。むかつきながらそんな息子さんを逞しく思い愛し応援する想いがギュッと詰まっている。本当に思春期って時期は・・自分が喋りたい時だけ饒舌に主張し、他は薄い反応。こちらから冷戦宣告したくなりますね!階級社会を心配し気を揉んでいたけれど、息子君は伸びやかに巣立って行った。我が家もそんな日が来ると良いな2023/11/24
pohcho
55
息子が10歳の時に離婚し、異国でシングルファーザーになった辻さん。本書では14歳から18歳までの父子の日常が綴られている。親戚の女性を間違えて「ママ」と呼んでしまい、普段泣かない子が大泣きしたエピソードには胸をつかれた。今時離婚は珍しいことではないけど、子供にとっては本当につらいことなんだね。そんな息子さんも立派に成長されて。最後は胸がいっぱいになった。BSのパリごはんもよく見ていたが、映像だとどうしても綺麗、美味しい、お洒落中心になるので。文章で読むと辻さんの内面が伝わってくるなと思う。とてもよかった。2024/04/04
もぐもぐ
47
辻仁成さんと14歳の息子くんとの、5年間のパリ暮らしエッセイ。思春期ど真ん中だったりコロナ禍だったり大変な事も多かったと思うけど、いつも愛情溢れる(そして時々拗ねる)仁成とうちゃん素敵だった。息子くんの成長ぶりも微笑ましい。現実的な息子と夢見るとうちゃん、なんだかいいなあ。2023/10/03