内容説明
セックスの時だけ、正直に素直になれる。意地の張り合いのような、昼間の時間しか自分になければ、心は意地悪なままでいただろう。気持ち良さのなかで、いい子だいい子だと囁かれて、泣きながらわたしの心はピンク色に戻ってほぐれていく。こころに届く小説集。
著者等紹介
夏石鈴子[ナツイシスズコ]
1963年東京生まれ。97年、『リトルモア』に小説「バイブを買いに」を発表しデビューする。98年、同誌に発表しつづけた作品をまとめて同名の単行本を上梓、注目される
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感想・レビュー
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ひろ
39
セックスがテーマになっているが、いやらしくない。表題作の『家内安全』は、遠藤のする普通じゃないセックスと、それに溺れていく主人公がよく描かれている。遠藤みたいな最低の男と不倫したことで傷付いた主人公だが、後に一緒になる伸一が誠実な人で救われる。『ぬるぬる』は、職場の上司に傷付けられた主人公が、マサルとのセックスで濡れなくなる。その時のマサルの優しさがいい。『鉄紺』は、ラストから6行めの虎太のセリフにグッとくる。いい男と最低男が登場する面白い短編集。2018/01/30
ワッピー
5
初読みの作家さん。女性の視点で、生きるということ、恋愛から生活に移行するということを描いた中短篇集。ここまでいろいろ考えたうえで答える内容、あるいは答えない沈黙の意味深さ。鈍感なワッピーがこれまで非モテだったのも無理はありません。とはいえ、自分に近い人、近くなろうという人との関係性は、ある程度エッジを丸めて、やり過ごす鈍感力も大切かもと感じてもいます。これからこの本を再読、再再読すると、きっとそのたびに印象ががらりと変わるのではないかと感じた稀有な作品世界でした。2017/09/19
アコ
5
初読の夏石さん。正直さして期待していなかったのだけれど(失礼)とてもよかった。文章が好き。難しい言葉を使わず回りくどい言い回しもせず簡潔。官能的な気持ちにはならず世知辛い世の中で生きていくしんどさのようなものに「うんうん」と頷く。特によかったのは『ぬるぬる』の最後のマサルの激励と『家内安全』の「この仕事の一番嫌なところは相手の悪意が耳から体に入りそれがなかなかわたしたちのからだから出て行かないことだった。」コルセン勤務ではないけれどクレームをよく受ける職なのでものすごーく共感。2012/10/12
まめちゃん
4
女性の目線からみたセックス感が現れているように感じました。 やはり男とは違いますね。 だからセックスは面白いのでしょう。2013/01/25
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
4
再読。セックスに罪悪感がある女子は読んだらいいと思うよ。男と女はセックスがあって当たり前。2012/04/22