内容説明
1992年は、何も起こらなかった年だ。時代は変わり、そして変わりきれず、変わらないまま現在に至る。この本は1992年の風変わりな時評だが「まだ時代がなんの問題もクリアーしていない」ゆえに、予想通り今なお有効なのだ。「我々にとって、変わるべき『いい方向』とは何か?私は、無意味は承知で考える。そうすれば、きっといつかはみんなも考えてくれると思ってさ」本書は、時評とみせかけた思想書であり若者と中年のための役に立つ人生の指南書である。
目次
1 from Newspaper(新聞はなぜ難解か;誰が新聞を読むのか?;家庭欄を見なさい;ある一つの事件;新聞には載らないこと)
2 far from Newspaper(とかくの噂;日本の農業;自衛隊の海外派遣;経済とはなんぞや;資本主義とはなんぞや ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lobking
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91年のPOPEYE(笑)誌に連載された時評。というか「新聞の読み方」。橋本治氏が「若い者へ向けた啓蒙」していた最末期の著作です。はっきりと「このくらい簡単にしてやんなきゃおめーらには判るめえよ」と、読者を「無知なバカ」と規定して書いてますが、悔しい事にそのボリュームゾーン設定がまことに正確。実際判りやすい。そこが悔しい。「'89」「ナインティーズ」ではまだハードル高い貴方(と俺)へ向けた名著。ものを考えるという事をおろそかにしちゃいけんのだな。取り敢えずバカからスタートするか、俺も。2009/06/02