内容説明
盲目の主人公ホタルに「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえた。ホタルの目が見えるようになると同時に、回りの人は光を失った。しかもホタルの住む町が正体不明の敵に襲われるとテレビ放送が始まった。人たちは町を脱出するための列車に乗り込んだ。ホタルは列車の中で不思議な緑色の少女ビビと知り合う。その列車を巨人が追ってくる。巨人をなだめられるのはビビだけだ…。
著者等紹介
大海赫[オオウミアカシ]
1931年、東京・新橋に誕生。早稲田大学大学院仏文研究科修了。長く学習塾を経営。やがて、童話制作に専念。現在、多摩センターで「リサイクルショップ魔女」を営んでいる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
90
児童書。1974年理論社刊の復刊本。生まれつき目の見えない少年ホタルが、神の声をきく「よし おまえののぞみを かなえてやろう ただし 七じかんだけだぞ ホタルよ いまからごご七じまでその目をあけて おまえにおもしろいものをみせてやろう」ホタルの目が見えるようになったとたん、町中の人の目が見えなくなった。そして、恐ろしいものが来るので、電車に乗って逃げなければならないという。電車の中で、ホタルは不思議な少女ビビと出会う▽個性的でどぎついイラスト。ばんばん人が死ぬなど、他に類を見ない強烈な児童書。2021/04/23
hnzwd
54
生まれつき目の見えない主人公にどこからか聞こえてきた声『今から7時間だけ目が見えるようにしてやろう』。主人公の目は見えるようになったが、他の人達は目が見えない7時間が始まり。。という衝撃的な導入部。目が見えない人達が起こすパニックや事件の表現がいちいち嫌な感じの上、版画のようなタッチで極端にデフォルメされた人間。嫌悪感を感じる人も多そう。ストーリーにはもう一つの謎が加わり、ラストシーンに繋がっていく訳ですが。。。衝撃的でした。子供の時に読んでいたら間違いなくトラウマ本。2015/05/12
emi
42
す、凄い本だった…!読友さんおすすめのcreepyな児童書ですが、私は今まで出会ったことがない衝撃的な本でした。今となっては差別用語になった言葉が満載ですが、もうそういうことをはるかに超えて世界が圧倒的でした。独特のおぞましい児童書です。話を作った方も絵を描かれた方も同じなんですが、個性が突出してます。他の追随を許さぬ独走。目の見えない少年が突然見知らぬ声が聞こえた後、初めて目が見えるようになる。ところが、今度は自分以外の人が見えなくなっていて…。世界の描き方も本当うまい。これは…今夜夢に出てきそう…!2016/02/03
おれんじぺこ♪(15年生)
29
夏に舞台化されるというので借りてみた。絵本?と思いきや深い…。あとがきを読んでからまた読み返すとこれまた深い…。これが舞台でどう立体的になるのだろうか、楽しみ2019/03/23
ジョニーウォーカー
29
率直な感想をいえば、とてもエロティックだった。この唐突なタイトルも、すべてを読み終わってみると「僕はビビを見て勃起した!」と言っているかのような剝き出しの響きをもつ。ある日、何者かの啓示を受けて突然目が見えるようになった盲目の少年ホタル。与えられた時間はわずか7時間。この限られた時間の中で彼は、初恋、恋愛、セックス、別れのすべてを経験する。その象徴が、彼にしか見えないビビという少女の存在なのではなかろうか? …いや深読みか。作家よしもとばななが幼少期に絶大な影響を受けた一冊だとか。読友推薦本(図書館本)。2010/11/03