福音館文庫<br> 人間だって空を飛べる―アメリカ黒人民話集

福音館文庫
人間だって空を飛べる―アメリカ黒人民話集

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784834018240
  • NDC分類 K388
  • Cコード C8297

出版社内容情報

アフリカからアメリカへ、奴隷として運ばれた黒い肌の人たちが歴史の変動の中で脈々と語り継いできた民話の数々。(F-3)

<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から

内容説明

灼熱のアフリカからアメリカへ、そして奴隷から市民へ…大河のような歴史的経験の中で、黒い肌の人たちが脈々と語り継いできた民話の数々。逃亡奴隷を母方の祖父として持つ著者が、収集し磨きあげ自ら語った、バラエティに富む二十四編のお話には、無数の人々の声が遠くこだましています。小学校中級以上。

著者等紹介

ハミルトン,ヴァージニア[ハミルトン,ヴァージニア][Hamilton,Virginia]
1936年、オハイオ州に生まれる。第一作『わたしは女王を見たのか』以降、少年少女のための物語を次々に書き、1971年には『ジュニア・ブラウンの惑星』で、1976年には『偉大なるM.C.』で、それぞれニューベリー賞を受賞。現在にいたるまで、アメリカ児童文学の第一人者として活躍している

金関寿夫[カナセキヒサオ]
1918年、松江市に生まれる。同志社大学英文科卒。アメリカ文学および文化を専攻、神戸大学、コロンビア大学ほかで教鞭をとる。1996年没

ディロン,レオ[ディロン,レオ][Dillon,Leo]
1933年にニューヨークで生まれる。57年にダイアンと結婚、以来ふたりで絵本、イラスト、デザインの仕事をしている。76年、77年と連続してコールデコット賞を受賞した

ディロン,ダイアン[ディロン,ダイアン][Dillon,Diane]
1933年にカリフォルニアで生まれる。57年にレオと結婚、以来ふたりで絵本、イラスト、デザインの仕事をしている。76年、77年と連続してコールデコット賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

78
米国の黒人の口承文学。『稲葉の白兎』のように報いがないのも、それはそれでいい。説教じみたものとか、いつも教訓を与えるものばかりではつまらないから。亀の甲羅とか、ワニの皮の話とか、人参と大根とゴボウの日本の昔話のようだ。悪い子を脅す話や、幽霊の話も面白かった。黒人と主人の話に、悲惨さや過酷さがないのがいい。主人に謎解きをさせて解放してもらうとか、首を傾げる部分も持ちながらも、黒人自身がツラい話を語りたくなかったのだと思う。『聖者の行進』の英語の歌詞の本当の意味を知った時の衝撃を思い出した。2014/09/21

ぱせり

12
自由を奪われ、読み書きを禁じられた人たちのあいだの口承文学は、アメリカの伝統の一部であり、歴史の一部だと、編者ハミルトンはいいます。同時に世界中の共通財産でもあります。悲しみに裏打ちされながらも力強く、希望さえ感じられる物語たちを今手渡してもらえたということは、確かに『人間だって空を飛べる』ということだと思います。2010/05/26

おはなし会 芽ぶっく 

6
アフリカからアメリカへ、奴隷から市民へ、と長い歴史のなかで迫害を受けてきた黒人。彼らの文化を知る事で、彼らの希望や夢に胸を討たれます。『 牡ライオンとクマ兄貴とウサギ兄貴の話 / お医者ウサギとキツネ兄貴とタール・ベビーの話 / 陸ガメのタッピン / ワニ兄貴とシカ兄貴の話 / トカゲ兄貴とウサギ兄貴の話 / ワニ兄貴が災難にあう話 / オオカミと鳥たちとセイウチの話 / 月の塔の美少女 / オオカミと娘っこ / マニュエルのなぞなぞ / ジョンとっつぁんのほら話 →2020/08/16

スゲ子

5
アメリカ黒人によって語り継がれた民話集。読んでいくと彼らがただただ「虐げられた人びと」ではなく、その苦難の中でも豊かな文化を紡いできたことが分かる。動物民話、ホラ話、こわい話や、日本のアマノジャクみたいな話もある。でも、やっぱり特徴的なのは「自由を得る話」だ。幸運やとんち(これがまたビミョー!)で自由を手に入れる人びと。圧巻なのが表題の「人間だって空を飛べる」途方もない話でありながら、哀しみや癒し、ルーツの地アフリカへの憧憬がこめられていて胸打たれる。それを語り継いだのは「飛べなかった」人びとなのだから。2016/03/07

cue.2

4
○奴隷制度の重みと、自由も文字もなくとも語る営みは途絶えない転調する民話。ここしばらくアフリカ大陸の民話を読んでいたのでショックを受けました。地と天を行き来する人々はなく、天に行こうとする人々ばかりになってる…。土着信仰的なものがキリスト教に、セプグググからジョンといった名前へ、アフリカの言葉は物語中の呪文のみとなり失われたこと、ヨーロッパ的な民話との融合、奴隷と主人のモチーフ…。本全体で自由に向かうような順に編集されていて「語り継ぐこと」が話中で語られる結末、伝承の魂を見るようで打ち震えました。→2014/12/25

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