出版社内容情報
地球が全宇宙の中心だと信じていたころの人びとが考えていた世界とは、いったいどんな世界だったのでしょう? 中世然とした作りの、ユニークな科学絵本。
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
451
いつもながら素晴らしい絵。冒頭では天使が太陽を引っ張り、巻末では地球を。途中の絵は、いずれも古き良きヨーロッパのムードに溢れている。部分的には中世風であったり、サンタ・マリア号が建造中だったりするが、全体としては時代考証は(あえて?)行われてはいない。『旅の絵本』の旅人が通りかかったりするのもご愛敬。巻末の「解説とあとがき」(安野)に言う「いま一度地動説の驚きと悲しみを感じてもらいたいと願ってかいた」は、まさに至言。その通りなのだ。私たちは「地動説」を"ほんとうに"わかっているのだろうか。 2021/03/14
へくとぱすかる
117
地球は丸くて、回っているのが当たり前。でも、「じゃあ、証明してみろ」と言われたらどうするか。思ったほど簡単ではないし、「本に書いてある」なんてのはダメである。地動説が、いかに多くの犠牲をはらって、今日の定説になったか、また天動説を信じた昔の人々を、私たちが笑うことができるのか。楽しい絵で紹介してくれるが、科学の歴史と重みをしっかりと知っておきたい。2019/06/01
アナーキー靴下
85
お気に入りの方のレビューを見て、懐かしく再読。子供の頃好きだった絵本。当時は絵も文も面白くて飽きない、という気持ちだけで、特に何も考えていなかったけれど、今改めて読むと、私は単純に地動説を信じていただけなんだな、と思う。あとがきで「知っていることと、わかっていることを区別して考えてみてほしいのです」という言葉があるが、わかったうえで、疑うこともできる、それが科学的な視点ではないだろうか。わかる以前に疑うこともいけないが、わかったからといって正しいと思い込むのもいけない。科学は信じるべきものではないのだ。2022/06/08
こきよ
82
あらゆるものの正解は時代時代の期間限定の常識に過ぎない。全ての事象に於いて我々は驚く程に無知である。短いながらも我々が紡いできた道を知り思索を巡らす。安野光雅のこの素晴らしい大人向けな印象の絵本は子供にも読んで何かを感じてもらいたい。2016/02/07
s-kozy
66
『天動説を信じていたころの人びとは、世界がどのようなものだと考えていたか』約40年前の1979年8月発行の絵本。「常識」だっていつだって変化する可能性がある、「知っていることと、わかっていること」は異なる。そんな安野光雅さんのメッセージが詰まった普遍性の高い絵本。名作だ。どのページも本当に絵が素敵だ。2018/06/25