出版社内容情報
異端視されても求道一筋に生きた著者の随筆
内容説明
二度と戦争をする国にしてはならない。戦時教学の欺瞞と教団の戦争責任を問い、いまこそ「兵戈無用」の真宗の教えに返るべしと、自らの死を意識するなかで書き続けられた書。生涯を親鸞との出遇いに捧げた著者の最後のメッセージ。
目次
第1章 本願寺には親鸞はいない(鈴木大拙『日本的霊性』の主張;鈴木大拙氏とアジア・太平洋戦争;私の親鸞研究の原点)
第2章 東西本願寺教団の戦時教学(近代における東西本願寺の動向;戦時教学の実態;戦時教学の責任を問う)
第3章 親鸞におけるまことの真宗教義(真宗教義の原点を探ねる;真宗行道論;真宗信心論;真宗者の社会的実践論)
著者等紹介
信楽峻麿[シガラキタカマロ]
1926年広島県に生まれる。1955年龍谷大学研究科(旧制)を卒業。1958年龍谷大学文学部に奉職。助手、講師、助教授を経て1970年に教授。1989年より1995年まで龍谷大学学長。1995年より2008年まで仏教伝道協会理事長。龍谷大学名誉教授、文学博士。2014年9月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
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タイトルに対する著者の答えが衝撃だった。曰く「本願寺には親鸞はいない」。真宗系の龍谷大学学長までつとめた人が、東西本願寺教団の戦争責任を糾弾し、現在の真宗教団の体質を批判した本。著者の遺作だという。暁烏敏や金子大栄など高名な真宗学者も、念仏をもってニッポンの戦争に順ずる立場にあったとあり、戦時下に教団や代表的指導者たちが奮った言葉に目を奪われた。「念仏もろともに大義につき皇国を死守すべし」「今ぞその念仏を捧げて、皇国を護持すべきものなり」「弥陀の本願と天皇の本願は一致している」ナドナド。2016/07/24