内容説明
ブラム・ストーカー賞最優秀長篇小説賞、日本冒険小説協会大賞受賞。第三次世界大戦勃発。核ミサイルによる炎の柱と放射能の嵐が全土を覆い尽くした。生き延びた人々を待っていたのは、放射能障害、「核の冬」の極寒、そして過去の遺物の争奪…死よりなお凄惨な狂気の世界であった。核戦争後のアメリカ大陸を舞台に繰り広げられる世界再生の鍵を握る少女スワンを巡る聖と邪の闘い。世紀末の黙示録神話を描く「超」大作巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
今回で3回目の読書になります。むかし、キング、クーンツ、このマッキャモンにはまっていた頃に読んでものすごい作品を書くなあと思った覚えがありました。キングの「ザ・スタンド」もすごかったのですがそれ以上の印象でした。上巻では登場人物などの紹介が中心となっていますが、善と悪を具現化した子供たちがどのようになっていくのかがよく書かれています。2018/05/12
ブラックジャケット
22
発表された1987年は、ゴルバチョフの登場で東西の緊張が緩和された時期だったが、マキャモンが超弩弓の核戦争小説で読書界を震撼させた。近未来なのでSF小説といえるが、核の冬の世界の悪魔的なホラー色、希望の源となるアイテムなどファンタジー要素も強い。巨編ならではの多彩な世界観となっている。三つの流れが死と恐怖のロードノベルとなる。マンハッタンの廃墟の中をさすらうシスターは、光り輝く不思議なリングを拾った。崩壊した核シェルターから逃げたマクリン大佐と少年。プロレスラージョッシュが守護する聖少女スワン。下巻へ。 2024/02/18
なつみかん
6
何年振りだろ〜?再々読、今時は見ないこの分量(厚み、そして文字数)やっぱり読むならこれぐらいないとね (o^^o)2018/09/22
ぱせり
6
第三次大戦後のアメリカ。暗くて寒くて怖ろしい。おぞましい場面の連続で、吐き気がする。めげぞうになる。私、よくもまあ、こんなの読んでるよ、とあきれる。だけどね、ちらちら見える澄んだ美しいもの。あれがいったい何なのか、どうなるのか、ほうっておくわけにはいかないのだ。追いかけて下巻に進みます。2012/11/16
たいへー
5
「スティンガー」や「奴らは—」のような、物語が拡大疾走していく小説を期待するとがっかりする。なにしろ暗い。最初から最後まで、暗澹たる空気が漂う息が詰まるような小説だ。一番の原因は明確な〝悪〟の不在。敵役がいるにはいるのだが、個としての悪ではなく、人類全体の悪を象徴する存在として描かれるため、乗り越えるべき困難ではあるが打ち倒さなければいけない存在としては登場しない。むしろそれを癒す方向に物語は進むのだ。そこに感動やカタルシスを見出せる人にはすばらしい物語だろうが、冒険活劇を期待した自分には合わなかった。2020/06/15