福武文庫<br> くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話

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福武文庫
くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784828857039
  • NDC分類 973
  • Cコード C0197

内容説明

少年が加わったパルチザン部隊は、愛すべき“落ちこぼれ”たちのふきだまりだった。奇想天外なネオ・レアリズム小説の傑作。遂に登場。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

92
イタリアの国民的作家と言われるイタロ・カルヴィーノの処女作。第二次世界大戦のイタリアのパルチザンを主人公の少年ピンの眼から描いていく。後の作品のような前衛的な小説ではない。それでも文学の魔術師と言われるこの作者独特の筆致は、この作品から現れている。戦争を描きながら、どこか童話的で瑞々しく、『レ・コスミコミケ』のような透明な無邪気さを漂わせている。「くもの巣の小道」はピンの心の故郷のことだ。そこではくもが穴に巣をつくる、とピンは信じている。この魔法のような場所を支えにして、彼は戦争を生き抜く。2017/05/27

やいっち

75
古書店で発掘(?)した。レジスタンスに生き闘い倒れた群像を少年の目線で描くが、そこはイタロ カルヴィーノだ、ひと味もふた味も違う。レジスタンスについては映画でも英雄として描かれる。が、現実の戦争は今生きている我々と同じ社会に生きるような、いろんな人々が巻き込まれる。大人や子供、男と女、健常者に障碍者、真っ正直な奴にずるい奴、日常が戦闘状態になる。地を這うような視点で高邁と低劣とを描いていく。長編ではないはずなのに、読み応えたっぷりの小説だった。2021/04/11

ぞしま

17
カルヴィーノの初長篇、変てこパルチザンもの。娼婦を姉に持つ少年ピンが主人公だけど、成長小説ではない。もちろん(いわゆる)レジスタンス文学でもない。そこからかなり遠いと言って良いと思う。 基本的には少年ピンの目線なんだけど、そうじゃない視点での語り口の妙さが浮き立っており立体的で面白い。パルチザン連中のずっこけ具合とかっこいい具合と、間の抜けた所でよくわからない叙情が差したり、変に真面目な記述があったり、バタバタとっちらかしていながらも何か芯を感じ、大変好みであった。カルヴィーノて最初から凄かったんだな。2019/06/11

lico

4
銃という大人の世界の象徴を盗み出したことで、子供の世界からは完全に切り離され、されとて大人の世界に受け入れられることもなく神秘的な霧の中を彷徨う少年の姿が描かれる。死が主人公にとっては何かよくわからない何かとして巧妙に隠されていることが印象的だった。全体を通して主人公の少年を中心とした世界が描かれ続けるのだが、それだけに主人公が完全に消え去るキムとフェッリエーラとの会話の異常性が目立つ。カルヴィーノが物語の枠組みを変えてまで伝えたかったことはしかし、現代では今一理解しがたい思想になっているように感じた。2023/06/03

シンドバッド

2
カルヴィーノに初めて接し、魅了された本。2004/08/16

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