ウォー・フィーバー―戦争熱

ウォー・フィーバー―戦争熱

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784828840338
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1995年1月27日午後6時47分、第三次世界大戦勃発。6時51分終結。その間、わずか4分。そしてその実事を知っているのは、ワシントン郊外に住む一小児科医だけ。恐怖の核戦争をスラップスティック風に描いた快作「第三次世界大戦秘史」。終りのない内乱に明け暮れるベイルート。17歳の少年戦闘員ライアンは、停戦を実現するすばらしいアイデアを思いつくが…。中東紛戦を戯画化した表題作「ウォー・フィーバー」。エイズが蔓延した21世紀。低下する一方の出生率を上げるため、国家によるセックスの強制が実施される(「エイズ時代の愛」)。イマジネーションを刺激する14篇を収めた最新短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

66
表題作は伊東計劃氏の「Indiferent Engine」、「虐殺器官」に影響を与えたんじゃないかしら?「エイズ時代の愛」は『ロブスター』『侍女の物語』を連想したり。「航空機事故」は娯楽化する報道や資本主義への文明批判が痛烈になされた作品だと思う。脳内ではゴダール監督の『ウィークエンド』風に映像化されていました。そして応答のみで記述される「未確認宇宙ステーション」、新世代の神ともされたが忌避された男、HRHと歴史的人物との関わりが記される「索引」。輪郭をなぞる様な記述によって狂気が垣間見えるのが恐ろしい。2016/10/09

スターライト

7
75年から90年までに発表されたバラードの14の短篇を収録。バラードの真骨頂とも言える「精神内部にある内宇宙と外部の現実を含んだ外宇宙との溶け合い、せめぎ合いから生まれた行動と意識の変容を追求した」(訳者あとがき)作品から、戦争や暗殺、エイズによる出生率の低下など、きわめて現代的なテーマにも挑んだ作品が含まれ、バラード入門書としても最適の一冊。ある少年兵がとった戦争回避の顛末を描く「ウォー・フィーバー」、第三次世界大戦という歴史的な事件がかき消される様を描く「第三次世界大戦秘史」が印象に残った。2011/09/08

hikarunoir

5
飛翔と飛行物へのフェティッシュを憚らず、それでいてマクロで突き放した視点を心掛ける実験精神の横溢する14編。打点も高い。2015/10/27

記憶喪失した男

4
「第三次世界大戦秘史」が面白い。どれも、冗長な作品はなく、充実した短編集。バラードの作品に対する信念を感じる。

3
世界は人間の内面にあり、また外界の環境は内面を写す鏡の役目を果たす、というのか。これまでに読んだものより普通小説、実験小説寄りの作品が多かった。「月の上を歩いた男」「宇宙時代の記憶」で内宇宙についての理解を多少は深めることができたと思う。気に入ったのは表題作と「未確認~」と「巨大な空間」と「索引」。架空の書物の索引というアイデアはなぜか考えたことが無かった。「巨大な空間」はホーソーンの「ウェイクフィールド」のような始まり方をしながらも、内的世界の探索と妙なホラー色で印象に残る。2009/11/06

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