福武文庫<br> 青い犬の目―死をめぐる11の短篇

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福武文庫
青い犬の目―死をめぐる11の短篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784828832937
  • NDC分類 963
  • Cコード C0197

内容説明

夢の世界に繰り返し現われる女性との奇妙な交流を描いた表題作「青い犬の目」、死に対する恐怖のイメージに満ちた、カフカ的悪夢の世界「三度目の諦め」、自らの美貌に苦しめられる女性の悲しい変身譚「エバは猫の中に」、死者の側から眺めた日常の光景「誰かが薔薇を荒らす」、『百年の孤独』の世界へと通じるマコンド物の1篇「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」他、全11篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えりか

54
あぁ幻想の中の浮遊。この陶酔感。「死と生」をめぐる短編集。自らの肉体が腐敗し異臭を放ちながら崩れゆくなか、魂は解放される。「青い犬の目」死の香りが放つ幻想と甘美な物語。夢の中でのみ出会える男女、合言葉は「青い犬の目」。夢の中では時間は進むことを拒み、肉体も存在しない。彼らの魂は語り合い、何度でも出会い続ける。もしかしたら「死」は「夢」と似ている、もしくはその延長線上にあるのかもしれない。永遠の眠りについた時、合言葉さえ思い出せれば、永遠に一緒にいられるのかもしれない。それは死の先にある世界への合言葉。2018/02/11

しろ

10
☆6 初期の短編でけっこう一般文学的な作りの小説ではあるけれど、このころからマジックリアリズムというか、超現実的な物語を描いている。死ぬ間際に死と生を見つめて死とは何かを観察するような作品が多かったのが印象的。生きた人間なのか、死んだ人間なのか、魂なのか、体なのか、ゆらゆらと彷徨う不可思議で意識的な良書だと思う。2013/02/11

あなた

10
マルケスにしては政治臭のぬけた純粋幻想な短編が多い。たとえば、夢のなかで魂が逢瀬をくりかえす万葉集のような短編もあり。万葉集だって思えばマジックリアリズムを地でいってたんだな。マルケスの学生時代の愛読書はカフカとジョイス(まあ、変身を読んでこれなら俺にも書けると小説を書き始めた)。その後の愛読書はフォークナーに。ほうっ!!カフカにフォークナーをまぜあわせれば、たしかに美味しくてジューシィな「族長の秋」ができあがりますよ!!ああ、おいしそう2009/08/15

マリリン

8
死と生の間をさまよう魂達は、極めてゆっくり時した時空を漂っているのか。 この世界感が、日常の中へ穏やかに浸透してゆく。良い時間を過ごせた。2016/05/28

ぶらり

8
マルケスの初期つまり1950年代の短編集。優良掘出物。世界が「戦争と科学の世紀」を折り返し、科学的リアリズムに完全統治されたころ、南米は、近代文明の翼下にありながら土俗的な「何か」に支配されていた。情念あるいは霊魂の「日常生活」が微視的に語られ、その「何か」を味わうことが出来る。確か夢の中で「青い犬の目」という声を聞いたような…曖昧な記憶に迷い込むと、薔薇を荒らしたのはイシチドリに目をえぐられた人ではない!ぬかるみに倒れる雌牛の荘厳な静かな儀式に感覚が麻痺して、いつのまにか柩に釘を打ち込む音が聞えてくる…2011/01/07

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