内容説明
世の中、全く妙な輩が多い。無礼きわまりない新聞の勧誘員、ネジが５、６本抜けてる学生バイト、血が出るまで頭を掻きむしる先生、妊娠した娘の股間を縫合しようとする厳格な父親、右も左も病気、びょうき、ビョーキ。やがてはエイズが人類をとり囲み…。内田春菊、遠藤周作、大槻ケンジ、島田雅彦、谷崎潤一郎ら１２人の傑作を鬼才筒井康隆が厳選した世紀末アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
98
ブラックでシニカルな｢毒｣が効きすぎる、病アンソロジー13編。1話目から強烈『内田春菊』家庭内レイプレポート。『色川武大』劣等生の麻雀的黙示録。『遠藤周作』役立たずの需要は意外に高レート。『坂口安吾』治療中にエロくなっちゃう安吾が面白すぎ!!『ポルノ惑星』不思議で不埒で不愉快なエログロスプラッタは、さすが！筒井さん!! 病で気が滅入ったとき、友達がお見舞いにきてくれないとき、そんな気分にうってつけの本です。病気VS自分ではなく、あくまで自虐のノリを突き通す主人公たちを応援したくなる短編集でした😉 ★42021/08/20
いこ
93
ある朝、寝坊して食卓につくと、見知らぬおじさんがご飯を食べていた。「誰？」と心で思うが、母と妹は平然と目玉焼きなどつついている。学校から帰ると、おじさんが歯磨きをしていた。歯磨きをしながら「アフリカ象を冷蔵庫に入れる3段階知ってる？」などともごもごと聞いてくる。授業中もずっと考えていたが、やはり誰だかわからない。でも、母はやはり平然とおじさんにタオルなど手渡していた。あれから一ヶ月経つけど、まだおじさんはうちにいる。私は頭がおかしくなったのか？ ーこれは私の実体験ですが、こんなお話が13編入った本です。 2021/08/13
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
58
タイトルにひかれて。本書は、13の病気の作品のアンソロジーで、結核やエイズなど身体的な病気の話もあるが、精神的異常や恐怖症、性格破綻、幼児性や偏執的性向、貧乏、借金など人格の病である「ビョーキ」の世界を綴った話が大部分。病気の話は、ともすれば深刻になってしまいがちだが、そこは筒井作品で明るくカバー。長い耳を11本生やしている「スズナリミミウサギ」のような駄洒落のきいた数々の命名やポルノ惑星のママルダシアの原住民の秘密を探る道中の荒唐無稽な展開に、大笑い。筒井先生の冴えたセレクトに感服した１冊。2021/08/20
10$の恋
42
こりゃあ、覚悟が要ったぞ。筒井康隆氏監修ってことは、かなりグロくて個性的な作品ばかりと推測。病気びょうきビョーキ・・世の中病気だらけ。名だたる作家のアンソロジー13編。しょっぱなの内田春菊著｢14才の初恋｣からして異様だな。ここは病気の一丁目、エゴと異常の縞模様。心が淀むし痒いし辛いし唖然とするし。徐々に私のおでこにスダレが…。作品は古いものも多いので、表現が結構｢直球｣である。シャレではないが偏執的で変質的、生々しい各作家の特徴を堪能したよ。なんだか私も病気になりそう…もう免疫になってたりして。イヒヒ♪2021/08/20
こばまり
42
オーケンから大谷崎まで、筒井康隆氏が病気をテーマに選んだ四半世紀前のアンソロジー。いずれ甲乙付け難い病みっぷり。内田春菊氏の自伝的短編の解説には、目下長編を執筆中とある。衝撃作「ファザーファッカー」へと繋がる訳だ。2016/03/30
