内容説明
走ることを宿命づけられた生きもの、サラブレッド。ゴール前、胸を締めつけられるような興奮。馬ひとすじに情熱を注ぐ職人。競馬に憑かれた人たちの夢をのせて、馬は直線を駆け抜ける―。寺山修司、沢木耕太郎、古井由吉、鮎川信夫ら練達の筆が競う最強の競馬アンソロジー。
目次
少年と見たシンザンの思い出(高橋三千綱)
人はなぜ競馬をするか(石川喬司)
運のつき(沢木耕太郎)
モンタヴァル一家の血の呪いについて(寺山修司)
馬主志願(東君平)
世界一の“無事是名馬”がいた〔益田〕(岩川隆)
かくて栄光を(畑正憲)
秦尚義『騎術藻塩草』(木下順二)
洋式競馬のはじまり(早坂昇治)
ある偉大なる職人―高橋勝四郎伝(宇佐美恒雄)
我が馬券哲学(菊池寛)
群衆のなかの孤独(渋沢龍彦)
橙色の帽子を追って―第41回ダービー観戦記(古井由吉)
最新韓国競馬紀行(古山高麗雄)
アポッスル(山口瞳)
競馬場にて(鮎川信夫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dzuka
2
競馬や馬好きな16人の作家が、その魅力を語る短編集。畑正憲さんや菊池寛氏あたりの作品もあり、いかに馬に憑りつかれると危ないかがわかる。 なかでも、「心の底では本当は(競馬をする人は)みんな負けたがっている。」という言及が面白い。そんばはずはないと思ったが、月曜日にはなぜか負けた自慢が花を咲かせ、また、ほとんどの人が負けて帰るはずの競馬場の帰り道が、あまり荒れていないことを考えると案外的を射ているのはないかとも思う。日本の競馬のレベルはいまや世界レベルであるが、その土台を作った人の話もあり、競馬好き必読。2020/10/15
コウみん
1
競馬が好きな人たちには読んだら面白い本。 澁澤龍彦から古山高麗雄まで戦後文学の作家たちが競馬論について話した。その中で韓国の競馬場の話が一番、印象的だった。30年以上前の本で今と合ってない話もあるが、割と気に入った内容だった。2020/07/11
sayuspi
1
競馬エッセイを書く際の参考に、と思い読んだ。皆それぞれ競馬の楽しみ方があり、色々な側面から競馬を見つめて、競馬と共に人生を過ごしている。寺山修司の作品が文学的で好きだった。宇佐美恒雄の作品はとても勉強になった。いつの時代でも競馬好きというのは変わらないモノなのだなあ、と頬が緩んでしまう一冊。2015/12/24