内容説明
おれと相棒の二人は、「白バス」を転がし無免許で観光ビジネスをやっている。アジアの好景気の煽りを受け、アジア各国から日本へ訪れる観光客相手に大繁盛していたものの、バブル崩壊とともにビジネスは天国から地獄へ急降下、今や毎月の家賃の心配もしなくてはならない。お年寄りを対象にしたオリジナルの新企画を考えて、建て直しを図ろうとするも、なすことすべてトラブルばかり。そんなドン底の毎日を送っていたおれ達のもとに一本の電話が…それは、神の恵みか、悪魔の罠か…物語は予想外の展開に。平成版「楢山節考」ともいうべき現代の高齢化ニッポンを風刺する面白快作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
68
いつまでも自分を必要とされていたい、元気にはつらつとして過ごしたい。それは老婆に限らず人の願いではないかと思う。小規模旅行会社の生存をかけた「企画」。そこに集まる人の心が今の時代を反映しているような気がする。今の日本には老人なんていないんじゃないかと思うほどみんなパワフルだ。この発想の面白さと老人に振り回される若いもんが対照的でいい味を出している。映像化されたら面白い作品になるだろうなぁ~なんて思いながら読み終えた。2012/11/04
ゆみねこ
45
白バスのドライバーと、元旅行社勤務のツアーコンダクターの相棒が、目をつけたのは高齢の女性たちをターゲットにした自給自足の湯治旅。姥捨てツアーという自虐的なネーミングもなんのその、集まったのは100人以上の老婆たち。高齢化社会を皮肉ったような、居場所のない、何もすることもない老後になってしまったら?などど考えるとちょっと身につまされる。白熊五郎さんがいい味を出していた。2014/08/04
zanta
19
一気に読んだ。面白い。このあとどうなるんだろう。転んでもただ起きない相棒はどうでるのか。続きがあるのだろうか?白バスや高齢者の問題。絡めて、身につまされつつ面白い物語になっている。老後が確実に近づいている私。今の社会を考えると、私が本当の高齢者になる頃は、老人福祉なんて切り捨てられる社会になっているかもしれない。その備えを考えなければならないかもしれない。とても元気が出てポジティブ(といえるかは微妙だが)になれる本だった。だけども○○もない、の言い換えが笑えて、最後の一つがほんとにツボ。2014/04/20
びすけっと
13
1998年10月刊。「佳代のキッチン」を読んで読もうと思っていた作品。除籍本コーナーで出会いました。違法旅行業を営んでいるうちにあらぬ方向に話が転がりました。人知れぬ温泉施設へ高齢の女性ばかりを送り込んだらば、自治組織が出来上がっていた。姨捨ならぬユートピアではないか! 高齢者が自分らしく生きていく手だての極地のようなお話でした。白バスに手を染めていた二人の成功物語では無かった…2015/01/16
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
9
2011年9月読了。2011/09/01