内容説明
村娘狭也は15歳。みなし子になった昔の記憶も、暖かい村ですっかり癒えて、今の悩みといえば、時おり見る「鬼」の夢―それからかなわぬ恋の想い。ところがそんなのどかな暮しは、祭りの晩にけしとんでしまった。「鬼」が来て告げた過去の秘密。憧れの都で待っていた絶望。そして「おまえの運命だ」と握らされた空色勾玉に導かれて出会った、すべてを統べる剣の主の、思いがけない正体は―。国家統一をもくろむ「光」と土着の「闇」が烈しく争う乱世を横糸に、少女狭也の成長を縦糸に、豪華に紡ぎ上げられた、日本が舞台の壮大なファンタジー。中学生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アヤ姉
22
再読。水のように言葉が染み込む。まさに“日本のハイ・ファンタジー”。「あたしたち、正反対で、それでいてとてもよく似てるんだわ」狭也と稚羽矢が自身を見つける物語であると同時に、自分が自分を見つめる物語でもあるのかも。読んでいる自分の中に好奇心の塊の狭也も、無垢な稚羽矢も、お茶目な鳥彦も、荒れ狂う照日も、理性的な月代も在るのを感じる。移ろう四季を愛しく思うと同時に、永遠に憧れる気持ちも。「もろくこわれ、何度もこねなおし、焼きなおす」。血のかよう人間の営み。出会いと別れ。大切なものを選べる自分でいたい。2015/08/20
灰音
4
徳間書店の本を読み、旧版の本を手にいれたのである意味再読。 本当に好きすぎて何度読んでも飽きない!2020/09/04
アキココナツ
4
初読は小学生高学年の頃。当時ずいぶん夢中になって読んで、今回はKindle版で久しぶりに再読した。月代王には当時からずいぶん憧れたなあ…影のある人に惹かれるのは当時からだったか。照日王とのエピソードが色っぽくて(色っぽすぎて)どきどきする。月代は寂しさを抱えたまま天に昇ったのかな。照日にも、水の乙女にも、永遠の片想いだなんてロマンチックな。2015/03/26
トモ。
3
お気に入りさんの感想を読んで、興味がひかれたのでこっそり読了(笑)イザナギ・イザナミの日本神話をベースに、輝と闇に別れてしまった世界が舞台。闇の巫女なのに輝に魅かれてしまった狭也と、輝の末子でありながらも異端として隔離されていた稚早矢が出会う。少々荒削りな所があるが、和風の雰囲気が素敵で、話にも勢いがあってグイグイっと読ませてくれる。3部作のようなので、シリーズを追います!2012/12/24
毛玉子
2
面白かったです。神話をもっと知っていたら更に面白いのかも。和製ファンタジーの王道ではないでしょうか。2015/08/04