内容説明
コンビニ、自動販売機、屋外広告、街灯…過剰な光に蝕まれた都市に暮らし、夜を失った私たちの未来には、何が待ち受けているのか。広がりゆく“光害”の実像を追いながら、私たちが忘れてしまった自然の夜の価値を問い直す。
目次
9 星月夜から街灯へ
8 二都物語
7 光は目をくらませ、恐怖は目を開かせる
6 体、眠り、夢
5 暗闇の生態系
4 夜と文化
3 ひとつになろう
2 可能性を示す地図
1 いちばん暗い場所
著者等紹介
ボガード,ポール[ボガード,ポール] [Bogard,Paul]
作家。ジェームズ・マディソン大学で、クリエイティブ・ライティングと環境文学を教えている。The End of Nightは、ノーチラス・ブック・アワード銀賞を受賞。ペン/E・O・ウィルソン・リテラリー・サイエンス・ライティング・アワード、シガード・F・オルソン・ネイチャー・ライティング・アワードの最終候補となった
上原直子[ウエハラナオコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロア
22
周囲を観察していると、窓の外の明るさに関係なく反射的に電気のスイッチ入れる人が多い。無意識でのクセになっているんだろうな…( ´Д` )外の明かりで過ごせる限り、電気は付けたくない。理解してもらえないけど、夜は暗くていいと思うし、まぶしいLEDは嫌いです。満月の明かりだけで探検した西表島の蛍の森、新月の房総半島の海岸で見た星空は素晴らしかった。暗闇と夜空を取り戻したいです。2016/08/03
みーまりぽん
18
「光を手に暗闇を訪れても、明るさを知ることしかできない/暗さを知ろうとするなら、闇を進むことだ、漆黒の闇を」 夜空の暗さの基準として考案された9段階のボートル・スケール、そのクラス1と認定できる夜をまだどこかで見ることができるのか・・・ 最も光り輝く都市ラスベガスをスタートに、夜の人工光と発ガン率とを初めて結びつけた疫学者、光害規制を求める世界初の団体「ダークスカイ」設立者、夜の渡り鳥を救ってきた活動家、米国立公園局ナイトスカイ・チームの創設者、などに話を聞きつつ本当の夜を模索する。 いざ、闇へ!2019/05/24
jackbdc
15
内容は人工的照明時代において自然な暗闇を探す思考の旅。表紙はなんと19世紀のパリの夜空。天の川が見えるじゃないか!僅か百年余りで都市は夜の暗闇を失なったと知る。近代以降の利便性向上の裏に潜む失ったものを巡る思索の旅は私好み。人や社会や生物へ、様々な影響が及んでいる事を順番に辿っていく展開が楽しめる。夜勤者の健康障害とか夜行性生物への悪影響とかも深刻なんだけれど、私が一番印象に残ったのは古き良き夜の街の散歩の描写。霧に煙る街をガス灯の薄明かりで散歩するとか浪漫チックだよな。LEDやネオンに風情は無いよ。2022/05/07
人生ゴルディアス
6
冗長……科学読み物だと思って読むと抒情的な表現が多すぎて胸焼けする。とはいえ光害が野生動物に与える影響なんかはかなり深刻なんだろうなと学ぶところもあった。例えばベガスのルクソールホテルの強烈な光に周辺の昆虫がすべて引き寄せられ、それを食べに蝙蝠がやってきて……みたいな生態系に明らかに影響を与えてる話など。そういわれると都内だと夜中も蝉鳴いてますよね。けど大半がちょっとスピな感じで、夜の美とは……みたいな話はあまり共感できず。類書の『失われた夜の歴史』も冗長だったんだよな……。2022/10/23
向う岸
6
228頁「夜は解放の時間です。光という威圧的な存在から自由になれる時と場所なのです」2016/09/02