出版社内容情報
ブラックホールの理論がいかにして作られ、それを証明する観測事実がどのように積み上げられてきたかを、わかりやすく、面白く、しかも、高度な理論のレベルまで正しく解説した本である.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』211頁、より)
内容説明
アメリカ物理学会賞受賞の著者による全米ベストセラーの超話題作!!何も抜け出せないのに蒸発していくブラックホール、時間が消滅し空間が泡になる特異点、謎に満ちたワームホール―歴史・理論・逸話が奇跡のように融合したスリリングな物語。
目次
プロローグ ホール巡りの旅
第1章 空間と時間の相対性
第2章 空間と時間のワープ
第3章 ブラックホールの発見と否認
第4章 白色矮星の謎
第5章 避けられない爆縮
第6章 爆縮の果てに何が?
第7章 黄金時代
第8章 探索
第9章 掘り出し物
第10章 時空湾曲のさざ波
第11章 時空は本当に湾曲しているのか平担か?
第12章 ブラックホールの蒸発
第13章 ブラックホールの内部
第14章 ワームホールとタイムマシン
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
6
一般相対論に始まり、白色矮星や中性子星、そしてブラックホールの理論や観測技術等を1993年までの経緯が語られています。著者のソーン氏はブラックホールがらみの論文等でもよく見られる著名な人物で、本書の登場人物との絡みも多い。ペンローズの革命的な数学の活用ですが、日本ではたぶんまだ物理数学しか学ばず、トポロジーとかは学ばないのでその点は遅れてますね。最後のタイムマシンの話は論文で出したら失笑物ですが、それもマスコミのせいとは。数式は出てきませんが、内容的には専門的でむずいですが良い本です。2024/02/19
黒豆
4
1997年に発行された本のため、最新情報は記載されていないが、アインシュタインはじめ著名な学者のアイデアや議論、進展の最前線が展開している。アインシュタインには量子論との統合は無理だったんだと認識、重力波やワームホールの話題まであり楽しめる好著。 2018/03/01
takao
2
ふむ2024/01/10
ソノダケン
2
著者はクーンの『科学革命の構造』を「もっとも洞察に満ちた書物のひとつ」と評価し、そのパラダイム概念を「湾曲した宇宙」と「平坦な宇宙」に当てはめて語ったりする。アインシュタインの偉大さは「どの実験が信頼できるか判定する能力」にあり、トポロジーを相対論にもちこんだペンローズの先進性は、イギリスの学部における「数学と物理学の教育のバランスの良さ」のおかげとするなど、専門バカにおさまらない視野の広さを感じさせる。SF映画『インターステラー』への貢献も、著者ならではの仕事だろうと思った。2015/01/19