神と科学は共存できるか?

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  • サイズ B6判/ページ数 323p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784822245726
  • NDC分類 404
  • Cコード C0095

出版社内容情報

新聞・雑誌などでも話題の創造論と進化論の最新論争をまとめた1冊。ブッシュ政権下で保守化、右傾化したアメリカの今を知ることが出来るグールドの遺作。

内容説明

2002年他界した進化生物学の巨人S・J・グールドが私たちに遺した21世紀のいま、「宗教」と「科学」が共存するための思考の冒険。

目次

第1章 お定まりの問題(二人のトマスの、ひとつの物語;二人の父親の運命)
第2章 原則的に解決済みの問題(NOMAの定義と擁護;NOMAの例証 ほか)
第3章 対立の歴史的理由(熱烈さの偶発的な根拠;コロンブスと平らな地球―科学と宗教の闘争という誤謬の実例 ほか)
第4章 対立の心理学的な理由(自然は私たちの希望をはぐくむことができるか?;自然の冷水浴とダーウィンのNOMA擁護 ほか)

著者等紹介

グールド,スティーヴン・ジェイ[グールド,スティーヴンジェイ][Gould,Stephen Jay]
1941‐2002。ニューヨーク生まれ。1967年以来、ハーヴァード大学で古生物学、進化生物学などの教鞭をとるかたわら、『ダーウィン以来』にはじまる一連の科学エッセイ集で数多くの読者を得る。2002年5月、2度目の癌との闘病むなしく他界

狩野秀之[カノウヒデユキ]
1963年千葉県生まれ。東京大学教養学部卒業。新聞社勤務のかたわら翻訳業

古谷圭一[フルヤケイイチ]
1934年生まれ。東京理科大学名誉教授、恵泉女学園大学名誉教授。専攻は工業分析化学、技術論、環境論。1960年代から大学キリスト者の会における活動を通じ、世界キリスト教協議会(WCC)の「信仰と科学技術」プロジェクトに1970‐80年代参加。日本キリスト教団早稲田教会所属、大気環境学会倫理委員長

新妻昭夫[ニイズマアキオ]
1949年札幌生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。専攻は動物学、博物学史など。現在恵泉女学園大学教授(園芸文化研究所所長)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Enzo Suzuki

13
問題は「科学」と「宗教」との間にあるとされている対立である。著者は言う「科学と宗教が、どのような共通の説明や解析の枠組みにおいてであれ、どうすれば統一されたり統合されたりするのか理解できないが、しかし同時に、なぜこのふたつのいとなみが対立しなければならないのかも理解できない」 科学は自然界の事実の特徴を記録し、それらの事実を整合的に説明する理論を発展させようと努力している。一方、宗教はといえば、人間的な目的、意味、価値という、同様に重要であり、しかしまったく別の領域で機能している。2017/04/07

iwri

11
宗教と科学の関係を扱うエッセイ。解説も充実していて親切。グールドは科学はいわば事実を扱い、宗教は倫理や価値に関する事柄を扱うため、それぞれの領域を侵犯してはいけないと述べ、それをNOMAと呼ぶ。確かに本書で扱われている、とりわけ進化論に関する議論について、グールドの立場は合理的であるように思える。また、彼自身が主張するように現代の多くの人はこの立場に立っているように思う。しかし、より境界的な事例において、科学的なものと宗教的なものの間にはっきりと線が引けるかと言う問題については疑問がある。2012/01/25

白義

11
博識のエッセイストグールドによる、科学と宗教の穏健なあり方を示す啓蒙書。経験的な事実を扱う科学と価値を扱う宗教は違うフィールドをカバーしていて、友好的非干渉が望ましいとするNOMA原理という考え方を紹介している。科学と宗教だけでなく、文理両方が絡む問題全般に一般化できるかも。歴史的な事例や心理的障壁を扱いながら、科学と宗教の領分の違いと現在の問題点を浮き彫りにし、未来に希望を託す、グールドらしい健全さとバランス感覚に溢れた本だ。長めの訳者解説もオススメ2012/01/15

むとうさん

8
「宗教の範囲と科学の範囲をしっかり分けましょう」というのがグールドの宗教観。それが曖昧になって混乱したのが「創造主義」だという。まずこの手の問題は少なくとも現代では(高校の4分類で言うと)「生物」系に特有かな。進化論に関しては「NOMA」で良いかもしれないけれど、再生医療だのクローンだのといったあたりにくると、「生命倫理」という言葉がある通り少し別の議論が必要になってきそう。あるいは、脳の機能が解明されてくれば「道徳や信仰を生む脳」という「科学」の対象、議論をどうとらえるかという問題も浮上するのでは。2012/03/12

NICK

6
科学と宗教はどちらかを立てればどちらかが倒れるような、対立しあう立場であるとされることは多い。科学は合理的で宗教は非合理的、あるいは科学は道徳を退廃させ宗教は真の平穏をもたらす云々。だが、生物学者グールドは科学と宗教について対立の道ではなく、もっとオトナな(つまり理性的な)見方を提示する。それは「そもそもこれらは扱う領域が重ならない」というものだ。ガリレオの裁判のように対立しているように見える事件も、それが歴史的に見れば例外的、特殊的な事例であって、歴史全体として見れば科学と宗教は共存してきたという2016/02/24

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