システム障害はなぜ起きたか―みずほの教訓

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  • サイズ B6判/ページ数 191p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822207830
  • NDC分類 338.61
  • Cコード C0055

出版社内容情報

本年4月、合併統合で誕生したみずほ銀行が開業早々起こした情報システムのトラブル。
連日新聞、テレビが大きく取り上げ、企業や預金者などから非難の声が押し寄せることとなった。
「合併3行の主導権争い」や「システムの見切り発車」などが言われたが、真相はどうなのか。学ぶべき教訓は何か。そこを曖昧にし、忘れ去るなら、将来同じ事態がまた繰り返されるに違いない。
 こうした視点から、みずほのケースを徹底検証したのが本書である。システム開発の失敗という直接の原因、それを防止できなかった体制の問題、その体制を生み出した経営トップの失策などが浮き彫りにされる。雑誌日経コンピュータの掲載記事をもとに構成・加筆したものだが、難解な専門用語をできるだけ排除した記述なので、一般読者にもやさしく読める。
 同誌では、合併統合が発表された99年8月の時点で、経営戦略とビジネスの仕組みを確立することの重要性を記事の中で指摘していた。結果として現実はこれと逆のほうへ展開するわけだが、今回の事故はひとり「みずほ」だけの問題ではない。わが国の企業や組織を支えてきた情報システムは、肥大化と老朽化によっていまや深刻な状態に陥りつつある、という。
 最大の問題は、多くの企業の経営トップが、情報システムの価値もリスクも現場の実態もほとんど分かっていないことだ。「コンピューターで経営ができるか」とか「技術は現場にまかせた」という遅れた認識がいかに危険であるかが強調される。
 「情報システムの問題のかなりが、経営(マネジメント)の問題であって、技術の問題ではない」(本書「はじめに」より) IT投資のあり方に対する、有益な示唆を含む警告の書である。

目次
第一部 徹底検証・みずほの悲劇
第1章 現場任せが諸悪の根源/トラブルの種は1999年8月にまかれていた
第2章 無理なシステム統合計画を立案/当初計画は2000年11月に破綻
第3章 大混乱の2002年4月/当面の危機は回避したが、問題は残っている
第ニ部 システム統合奮戦記
第4章 北洋銀行、既存システムを捨てて成功/経営トップのリーダーシップで乗り切る
第5章 東京三菱銀行、十カ月で完了/徹底したプロジェクトマネジメントが功を奏す
第6章 UFJ銀行、大成功の直前に暗転/史上初の統合システム一斉稼働に挑戦したが
第三部 システム障害と闘う
第7章 基幹系システムに危機迫る/肥大化に対処できる人材が払底
第8章 経営トップが全てを左右する/システムが分からないなら退任せよ
第9章 計画作りがなによりも重要/プロジェクトの成否は計画次第
第10章 今こそプロジェクトマネジメント/統括責任者なくして成功なし

内容説明

みずほ銀行のトラブルは他人事ではない。初めて明かされる真実と教訓。

目次

第1部 徹底検証・みずほの悲劇(現場任せが諸悪の根源―トラブルの種は一九九九年八月にまかれていた;無理なシステム統合計画を立案―当初計画は二〇〇〇年十一月に破綻;大混乱の二〇〇二年四月―当面の危機は回避したが、問題は残っている)
第2部 システム統合奮戦記(北洋銀行、既存システムを捨てて成功―経営トップのリーダーシップで乗り切る;東京三菱銀行、十カ月で完了―徹底したプロジェクトマネジメントが功を奏す;UFJ銀行、大成功の直前に暗転―史上初の統合システム一斉稼働に挑戦したが)
第3部 システム障害と闘う(基幹系システムに危機迫る―肥大化に対処できる人材が払底;経営トップがすべてを左右する―システムが分からないなら退任せよ;計画作りがなによりも重要―プロジェクトの成否は計画次第;今こそプロジェクトマネジメント―統括責任者なくして成功なし)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

4
みずほの話は苦闘の19年史と同じ。絶対に止められないシステムの稼働とか、物理的に磁気テープをトラックで運ぶとか、緊張感あって楽しそうだなと思った。システム構築会社側の人間だから、事業部側の注意点について書いてあって面白い。■トップが情シスに興味を持って、早く戦略を立てるべき■PM力。要件定義と検収に時間をかけ、進捗を社内で把握できるようになる。■利用部門と情シスの連携。利用者のトレーニング。2021/12/18

yasu7777

4
★★★☆☆ みずほの経営陣がいかに無能であったのかがよく分かります。前田社長のアホ面が印象的。2016/08/18

ふろんた

2
続編が出たので、合併時の混乱も確認のため読んだ。大規模プロジェクトは、準備段階で成否が分かれる。それにしても、金融機関の統合プロジェクトって、金額や工数の桁がすごい。 2011/09/18

Humbaba

1
やるべきことをやる。それが完全にできていれば、システムに問題が入り込む可能性は低い。しかし、そのやるべきことをやる、というのは非常に困難な作業である。それができず失敗するプロジェクトは数多存在するが、同時にそれをやり遂げて成功したプロジェクトも存在する。成功例がある異常、できない、というのはやらない人間の言い訳に過ぎないとも考えられる。2013/06/01

0
経営者たちのずさんな見込みと、実際にトラブルが起きたときに復旧が困難であるということがよくわかった内容。システム統合で成功した事例も挙げられているのが非常に興味深かった。2002年の本なので、まだ統合失敗の序章という感じ。2016/08/28

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