内容説明
東京都立中央図書館の相談係には年間6万件の質問が寄せられる。内容は日常生活の中で感じたちょっとした疑問から,仕事上の調査、学問の研究など、多岐にわたっている。この本は、こうしたレファレンスの質問・回答の実態を現場職員の日記スタイルで記したものである。率直にありのままに再現された記録からは、日本人の知的実態が浮かびあがる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てるてる
29
最近マンガで注目を集めている図書館のレファレンスサービス。大串夏身先生ご自身の昭和末期の記録。この手の本が他に出版されていないのが不思議。図書館員や司書資格を目指す学生の疑似体験による経験値向上だけでなく、図書館利用者へのサービスの啓蒙にもなると思うのだけど。僕が編集者だったら全国の図書館を巡って司書さんに会いまくって記録を掘り出すね(→それは単に図書館巡りがしたいだけだろうというツッコミは謹んで黙殺いたします)レファレンスブックに興味がわいたけど奥が深そうなので自粛。まずはこの積読本の山と戦わねば><2014/09/17
スターライト
6
都立図書館の相談係をしていた著者による、電話やカウンターで受けた相談を日記風に綴ったもの。88年9月から89年1月までの5ヵ月間の記録なので、カードで探したりするところが時代感が漂う。電話での受付は3人体制のようだが、毎日200件前後、多い日で300件の相談(しかもこれは他の部署に回したものは含まれないという)というのは大変だと思う。どんな質問にはどのように答えるか、その時使う参考文献などは今でも生かせるところはありそう。ただ今はネットがあるので、楽にはなっているはず。ぼやきには思わず同情。2019/11/07
サエズリ割津
4
授業で紹介された本。まだ図書館目録がカードを主に用いていた時代に都立中央図書館に勤めていた筆者が、電話や窓口で行ったレファレンスサービスの記録を日記風に書くという内容。図書でも雑誌でもあらゆる分野のあらゆる質問に答えようと辞典やその他ツールを駆使して調べるという作業は、機械での検索が主流になった今にも通じるところがあると思った。巻末の文献・情報の調べ方も、知らないことばかりだったのでま学ぶところが多くて勉強になった。2016/05/04
やま
3
図書館の相談員の記録。メモをあまり整理せずに書かれているとのことで読みにくい部分もあるが、当時の苦労も伝わってくる。ネットが普及した今とは状況が異なるだろうが、参考資料が強力な武器であることがよくわかる。2018/05/18
botan
3
もはや名探偵の域。情報関係の職にいる身としては、この知識の地盤と素早い応用力を少しでいいから分けて欲しい。2014/08/18