内容説明
エヴァンは母アンドレアと遊び友達に囲まれて暮らす普通の少年。だが、しばしば突発的に記憶喪失に陥るという奇病を持っていた。治療の一環として日記をつけ始めた彼を、次々と過酷な出来事が襲う。精神病院に入院していた父ジェイソンの不慮の死。幼なじみのケイリーへの虐待の影。ケイリーの兄トミーの悪魔的な変貌。それら全てを、エヴァンは克明に日記に綴っていく。やがて大学生になった彼は、ふとしたきっかけで日記を読み直している間、突然の頭痛によって意識を失う。目を覚ました時、彼は数年前の自分に戻っていた…。日記の中に封じ込めた辛い過去を、エヴァンは変えることができるのか。
著者等紹介
スワロウ，ジェームズ［スワロウ，ジェームズ］［Ｓｗａｌｌｏｗ，Ｊａｍｅｓ］
イギリス・ロンドン出身。２０歳代前半より、ジャーナリスト、作家としてキャリアをスタートさせる。ＳＦ＆ファンタジー系の雑誌などにも数多く記事を執筆している
酒井紀子［サカイノリコ］
東京都生まれ。１９８７年より洋画字幕翻訳およびノベライズ翻訳・著作に携わる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
拓也 ◆mOrYeBoQbw
21
映画ノベライズ。タイムリープSF。映画は未見です。ウェルズ『タイムマシン』～ゼラズニィ『聖なる狂気』の系譜に連なるシナリオです。どことなくコルタサルの短篇の雰囲気や影響も感じられます。いわゆるSF的要素とサイコサスペンス的要素を両方含んだ作品で、前述の『聖なる狂気』のカタルシスを長篇の流れにうまく組み込んでいますね。７０年代ニューウェーブSFは人の内面や身近な不思議を掘り下げるスタイルなので、映画とは非常に相性が良いというのも改めて感じられます。2016/07/22
chi.m
11
大切な人を救うために逆行を繰り返す主人公。ちょっとした選択の違いで未来が大きく変わり、まったく異なった人生を送ることになる。選択肢の数だけ未来があるんだと思うけれども、だれかを幸せにしたければ、だれかが犠牲になるしかないのはつらい。幸と不幸は隣り合わせ。みんなが幸せに生きられればいいのに。2012/07/22
放蕩長男
7
映画バタフライ・エフェクトの小説版です。自分の日記などを媒介として、過去に戻る力を持つ青年エヴァンが、想い人の死を覆すために過去改変を繰り返し、泥沼の悪循環に嵌っていく物語です。ラストシーンが切ない。因みに私は、映画版を観たことはありません。近年、タイムリープ作品は数多く世に出されていますが、それらの作品は、このバタフライ・エフェクトと比較されることが多いようです。それだけ、強いインパクトと影響力を持った名作です。2017/06/04
けいちゃっぷ
7
過去改変ＳＦ。「バタフライ効果」というのは「中国で蝶が羽ばたけば、ニューヨークに嵐をもたらす」というようなカオス理論らしいが、そこまでのスケールの大きさはない。主人公と友人たちの状況や人間関係が変化する程度。読ませるところもありましたが、映画的には絵になるのでしょうが馬鹿馬鹿しいところも。４８７ページ2010/07/25
北条ひかり
4
7時間11分。静岡県視覚障害者情報支援センターと音訳者さんに感謝。 この映画の存在を知らなかったのだが、かなり有名な作品らしい。映画を見てから、この本を読むほうがよかったかもしれない。この本、最初のほうがかなりとっつきにくい。とは言え、中盤を過ぎたあたりからは、主人公たちがどうなるのかとはらはらしながら最後まで一気にたどり着くことができた。やっぱり、映画見たいな。タイトルを教えてくれた方に、感謝。2015/12/29
