内容説明
雪は天から送られた手紙である―マイナス三〇度の中で顕微鏡をのぞき続け、世界で初めて雪の結晶を人工的に作り出した中谷宇吉郎。雪と氷の研究に情熱をそそいだ六十一年の人生を描きます。
目次
第1章 西遊記の夢
第2章 生涯の師・寺田寅彦
第3章 寺田研究室
第4章 天空の氷・雪との出会い
第5章 ガラス管の中の氷・人工雪
第6章 土の中の氷・凍上
第7章 つばさにつく氷・着氷
第8章 氷河の氷
第9章 極地の氷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naotan
15
子供の本を探して児童書コーナーを見ていたら、私が読みたくて買ってしまった。 立春の卵のエビソードは載ってなくて残念。でも、非常に読みやすくて子供でも実験できそうな事例が載っていて面白かった。このシリーズ追いかけるかも。2022/05/27
やま
13
「雪は天からの手紙」で有名な中谷さんの伝記。中谷さんの伝記は何冊か読んでいるが、今回は子供向けということもあり、読みやすい。極寒の中で雪が出来る秘密を解き明かしていく研究や、人の役に立ちたいという思いが伝わってくる一冊でした。このシリーズ面白いです。2021/10/16
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
12
雪は、ときどき地上へ手紙をよこします。この1文から始まる伝記、底にずっと流れる詩情は寺田寅彦に師事したという中谷のものである以上にそれを救い上げたこのシリーズを手掛けた清水洋美氏の力量によるものではないかと。シリーズ4作中、中谷宇吉郎は存じ上げませんで(恥)この方の寺田寅彦やサントリーの鳥井信二郎との繋がりは、信念とか誠意とかを神様(がいるならが)はこのように掬い上げていくのか、と素直に納得させるものでした。そう思わせる著者の力量と感じました。→2021/07/14
たんぽこ
7
雪と氷の研究に情熱を注いだ中谷宇吉郎の伝記。史実や業績だけではなく、恩師や友人との交流も生き生きと描かれてあるので、小説を読んでいるかのように主人公・宇吉郎に共感できます。それでいてコンパクトに文章量をおさえてあるのも◎。巻末の「宇吉郎新聞」では、小惑星ウキチロウと小惑星トラヒコのエピソードが印象的でした。「中谷宇吉郎雪の科学館」や、チンダル像の作り方、雪の結晶の観察方法についても巻末に紹介があり、とことん親切!子ども達に、科学者その人と科学へ興味を持ってもらえるよう、こまやかに配慮がされている良書です。2021/02/14
はなびや
6
雪の結晶の研究家で、雪の写真家ベントレーに影響を受けたというぐらいしか、予備知識がなく読んでいたら、師匠は寺田寅彦、大学進学の援助をしてくれたのは、サントリー創業者・鳥井信治郎で、数学者・岡潔の名前もあり、岩波書店の小林勇など、著名人の名が散見し、能力と努力だけでなく、人との巡りあわせにも恵まれた人だったのだなと思った。2021/03/23