内容説明
戦争の悲惨。特攻の実相。犠牲の青春。奪われる生命と失われる愛。かえりみて、今日の平和の貴さ、自由の日々を生きる幸せを考える。名曲「月光」の調べにつつまれた、愛と哀しみの感動のドキュメンタリー・ノベル。感涙をよぶ話題の映画「月光の夏」の原作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
73
”死ぬまえに一度、思いっきり、ピアノを弾かせてください” 不覚にも涙が・・ 特攻の前日に小学校にピアノを弾きに来た二人。 当時の教員が、その思い出を語ったことから反響を呼び、嘘の話じゃないか、とまで言われながらも生き残った一人と出会う話。 ドキュメンタリーノベル。映画原作(未見) 良いです。ノベルにしなかった方がさらに良かったかも2021/08/17
遅筆堂
16
Wilhelm Kempff のピアノを聴きながら読みましたよ。堪えるなあ。『月光の海』よりシンプルで仰々しくなくて小説として良かった。『永遠のゼロ』と違って、ドラマチックでない分、リアルに感じるかな。知覧平和記念館へもう一度行ってみようか。2014/02/28
クボタ
2
中学時代の友人の母校(高校)に関連したことが書いてあると教えてもらい読んだ。特攻隊員が今生の別れにピアノを弾きたいと鳥栖の国民学校に来てベートーベンの「月光」を弾いた思い出から話は始まる。そのピアノが廃棄処分されるのを守るとともに特攻隊員を探す。生き残った特攻隊員が入れられた寄宿舎「振武寮」での絶望感と生き残ったことを恥じる思いの辛さが感じられた。実話を基に作られた作品で、映画化もされたとのこと。2015/05/26
ツカモトカネユキ
1
ほんの70年前の狂気の時代の日本の話。それを考えると現在はすごい変わりようです。25年前の話ですが、それでも隔世の感じがします。今の情報があふれる時代だと、この話とは違った感じになるでしょう。 主題の戦争への憤りには共感します。舞台の現場に足を運びたくなりました。2017/09/28
nara
1
特攻、と聞くと「永遠の0」が有名ですが、それとは全く異なる切り口でのお話。実話だそうで、おまけに舞台は九州。特攻へ出る青年が、特攻へ出る前にとある場所でピアノを弾いたことからお話が始まります。 特攻へ出た青年兵達の苦悩、そしてあまり知られていない特攻にまつわるエピソードが優しい文体で描かれています。戦争について、改めて考えさせてくらる一冊でした。2015/10/12