出版社内容情報
国土の3/4ちかく占めている日本の森林の中で、どれだけが自然林として残され、開発はどこまで許されるのか。その現状と将来どう育てるべきかを、長年、日本の山野をつぶさに研究してきた著者が正確に分析する。あわせて最近の動きにも言及した。 ★★★科学評=日本の森林植生の概要をつかみ、植生研究とはなにかを教えてくれる好個の書。★★★ ●●●「まえがき」より=日本の森林は、いろいろの立場から見直されつつある。大きな理由の一つとして、環境問題が身近なものとなり、森林の重要性があらためて認識されてきたことがあげられる。日本の森林の現状と将来は、今では一部の者だけの関心事ではなくなってきているとともに、森林についてのさらに深い理解が要求されるようになった。そのような情勢のなかで、日本の森林をひととおり解説し、専門家というよりも、少しでも森林にかかわりをもつ人や、ふれあいを求める人たちの参考になるようにと思って書いたのが、本書である。この本では、森林の機能、保護、利用などについては、それほどくわしくふれていない。しかし、それらの前提または基礎として、日本の森林について知っておいたらよいと思われることは、すべてというにはほど遠く、また多少上すべりながらも、かなり多く述べたつもりである。私も、日本の森林を研究してきた者の一人ではあるが、その対象は限られた一部にすぎない。したがって、本書は、多くの先人の努力のあとをたどるとともに、現に研究を進めている方がたの貴重な成果をもとにして、まとめることができたものである。不必要と思われるほど古いことをもちだしたり、研究の現状にあまり批判を加えなかったのも、そのためである。本書によって、多様で特徴のある日本の森林の姿と、それが今どのような状態にあり、それを研究者はどうとらえているかということなどが、いくらかでもわかっていただけたら幸いである。また、これから日本の森林の研究を志す方たちにとって、なんらかの指針にでもなれば、非常にありがたいことである。●●● 【主要目次】▲▲第1章・森林---その定義と種類=森林とは/森林の構造/相観と生活形/森林の種類 ▲▲第2章・日本の森林帯---森林と気候的環境=森林と気候/森林帯論の基礎/森林帯と温量指数/垂直的森林帯/森林帯についての問題点/亜熱帯林/暖温帯林/中間温帯林/冷温帯林/亜寒帯林/太平洋側の森林と日本海側の森林/瀬戸内の森林 ▲▲第3章・森林と土地---地形、地質など=土地の影響/海岸のウバメガシ林/その他の海岸林/山地の針葉樹林/北海道のアカエゾマツ林/湿地林・河辺林・渓谷林/石灰岩地帯/蛇紋岩地帯/火山 ▲▲第4章・森林の変遷---遷移、極相および二次林=地史的遷移/生態遷移/極相/極相林の性質/陽樹と陰樹/二次林の性質/日本の二次林/森林の破壊 ▲▲第5章・日本の森林の分類---とくにチューリヒ・モンペリエー学派を主に=植生と植物群落/分類の基準/分類単位/研究方法/日本の森林の分類の経過/チューリヒ・モンペリエー学派の研究/組成からみた日本の森林 ▲▲第6章・日本の植物地理区分---区系区分と森林=日本の区系区分/小笠原/沖縄・奄美/太平洋側/日本海側/北海道 ▲▲第7章・日本の森林の特徴と現状---まとめ=日本の森林の特徴/残された問題と現状 ▲▲第8章・森林の保護---その必要性、現状および将来=保護の基礎/生態系と森林/森林の機能/森林の利用と保護/保護の現状/将来の保護
内容説明
国土の四分の三ちかくが森林である日本において、どれだけが自然林として残され、開発はどこまで許されるであろうか。その現状と将来の展望をも含め、永年日本の山野をつぶさに調査・研究してきた著者が、その姿を正確に分析・解説した。
目次
森林―その定義と種類
日本の森林帯―森林と気候的環境
森林と土地―地形、地質など
森林の変遷―遷移、極相および二次林
日本の森林の分類―とくにチューリヒ‐モンペリエー学派を主に
日本の植物地理区分―区系区分と森林
日本の森林の特徴と現状―まとめ
森林の保護―その必要性、現状および将来