内容説明
日々起きる動物珍事件を人間動物行動学の“鋭い”視点で把握し、分析し、描き出す。絶好調、先生シリーズ。
目次
ヒキガエルも脱皮する、そして皮を食べるのだ―実はアカハライモリもそうだった
ヤギの脱走と講義を両立させる方法―驚きや意外性は生存や繁殖に有利に働く
海辺のスナガニにちょっと魅せられて―砂浜に残された動物たちのサインを読む
カラスよ、それは濡れ衣というものだ!―子ガラスを助けたのに親鳥に怒られた話
春の田んぼでホオジロがイタチを追いかける!―被食動物が捕食動物に対して行なう防衛的行動のお話
NHKのスタジオのテーブルの上を歩きまわった三匹のイモリ―私は“ラジオキャスターのプロ精神”を感じた
ペガサスのように柵を飛び越えて逃げ出すヤギの話―頼むからこれ以上私を苦しめないでおくれ
著者等紹介
小林朋道[コバヤシトモミチ]
1958年岡山県生まれ。岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005年教授。専門は動物行動学、人間比較行動学。これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
425
鳥取環境大学の小林先生による「先生、シリーズ」の第4弾。コンラート・ローレンツの動物行動学の日本版というか鳥取版。フィールドこそはリージョナルだが、内容的には世界に向かって発信できるレベルのもの(だと思う)。この人は大学に着任する前は高校の生物の教員だったそうだが、高校でこんな先生に遭遇していたら(正しくは薫陶を受けていたらと言うべきか)、血迷って動物行動学を志して路頭に迷っていたかもしれない。そんな危なくも魅力に溢れた先生であり講義だ。身近な素材を取り上げながらも実に奥が深く、また拡がりもあるのだ。2019/10/17
mae.dat
211
研究の内容も方法も多様ですなぁ、日常も。今回も楽しく読了。カエルの脱皮。確かに着目した事なかったし、ヘビの様に抜け殻を見た事もないけど。まさか食べていたのだとは。また、食べ方を想像するに可愛い。スナガニの巣穴の研究指導もナイス。ヤギ部の面々。ヤギ並み外れたチャレンジ精神良いですなぁ。部外者目線ですけど。ヒトに見るモビング(被捕食者が捕食者に敢えて近付き、一定距離保ちながら警戒音を発するなど)行動も。火事場の野次馬やホラーを観るとかも一種のモビングなのだと。あらー、なら儂は危機状況に弱いのかも。2022/06/15
美登利
86
今回も面白かった!ヒキガエルのイボイボはちょっと想像しただけで寒気がしますが(実際見た時ゾッとしたもの)、蛇が頭をもたげた状態と同じ形のものであれば、それが金属などの作り物でもヒキガエルが同じ反応をするというのは面白い。その格好がお相撲さんみたいなところが可愛いらしく感じました。ヤギ部、個体数が増え賑やかながらも大変な面も出てきて、ますますこのシリーズから目が離せなくなります。先生が保護して大事に育てたカラスのキューちゃんの写真も愛らしかったです。2020/02/07
ユカ
45
あいかわらず、愉快な小林先生の動物エッセイでした。とくに最後の、ヤギ部のクルミさんのお話がおもしろかったです。笑ったけど、ヤギすごいな。さすが、普段は崖っぷちを崖っぷち感なく歩いている種。カエルが脱皮した皮を食べるのは知らなかった。だけども食べた皮がほとんど消化されていないことに笑える。脱皮はカエルの隙でもあるのだろうから、匂い消しのために食べるのかしら? 次も読むぜ。買ってあるぜ。2015/05/17
MURAMASA
43
本シリーズも4冊目、先生の筆もずいぶん軽くなって、こちらの読むスピードも速い速い。ヒキガエルにヤギ、カラスやイモリなどなど、たくさんの動物たちのおもしろエピソードに楽しませてもらいました。ただ、これまでの3冊にあふれていた動物や学生への愛情が、本作ではあまり伺えないのが残念でした。私が筆者の作風になれてしまったというより、面白いネタが少なくなってきた、と考えてしまうのですが…私としては3冊目、『子リスたちがイタチを…』がいちばんのお気に入りです。2010/05/22