シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈上〉

シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806711834
  • NDC分類 470.4
  • Cコード C0045

出版社内容情報

全世界でベストセラーとなった書、待望の邦訳。
ハーバード大学、イェール大学で学んだ植物学者が、アマゾン奥地の先住民と生活を共にして、彼らが恐れ敬うシャーマンに弟子入り。
シャーマンたちが数千年にわたって伝承してきた薬効ある植物と、その使い方を習得していく。
胸躍る冒険譚であるとともに、癌治療をはじめとした現代医学が、いかに多く彼らの知恵に負っているかを美しい筆致で描き出す。

【書評再録】
●朝日新聞評(1999年10月24日)=アマゾンという現代の辺境における旅行記としても、異文化交流の記録としてもたいへんにおもしろい。南米の歴史や文化に関する造詣も深く、エピソードはどれもおもしろい。
●東京新聞評(1999年11月14日)=森に住む人々の生活や心情、神秘の能力への驚きを共感をこめて率直に描いており、熱帯雨林とそこに住む人々の存在の意味の重さを教えてくれる。
●WWF評(2000年1/2号)=食べ物、狩猟、医術、呪術、さまざまな形で植物を用いることを知るインディオの知恵と、その文化を育む熱帯雨林の自然。それが、現代文明にとって、いかに重要な意味を持つものであるかが素晴らしい体験記を通して語られている。
●中央公論評(2000年5月号)=あらすじだけを読むと冒険小説だと思う人がいるかもしれない。実際はまぎれもないノンフィクションなのだが、小説的な想像力に満ちている。最初のページを開いた瞬間から、読者を遠い熱帯雨林に連れ去る不思議な力を発散しているのである。
●バーダー(Birder)評(2000年1月号)=全世界でベストセラーになった、植物、新薬開発、動物、人間たちをめぐる冒険旅行記。
●ニューヨーク・タイムズ評=フィールド調査で科学者が新薬の基となる植物を見出す苦労を生き生きと伝えてくれる。
●パブリッシャーズ・ウィークリー評=自然保護の熱意を巧みな文才でつづった第一級の冒険旅行記。
●ロスアンジェルス・タイムズ評=すばらしい! 著者プロトキン博士は、シャーマンのカリスマと神秘の能力に素直に驚き、類い稀な筆力で描き出された事物や人びとは、ページを繰るごとに、いきいきと躍り出してくる。
●ナチュラルヒストリー誌評=熱帯雨林に一度も足を踏み入れたことがない者でさえも、シャーマンに学ぶよろこびとスリルを、あたかも自分が味わっているかのように、まざまざと感じ取ることができる。からみあって生い繁るリアナの森を抜け、汗や雨にぐしょ濡れになり、巨大なワニから逃れ、吸血コウモリにかまれ……と、1ページ1ページがまるで冒険映画のワンシーンだ。

【読者の声】
■男性(32歳)=とてもおもしろかったです。今この時もインディオの知恵が失われているかと思うと残念です。
■男性(37歳)=たいへん興味深く読ませていただいた。内容からして1900年代の最後の年に出版されるべくしてされた本であると思った。翻訳もこなれていて読みやすかった。この本を出版してくれたことに感謝したい。

【内容紹介】本書「序--リチャード・エヴァンズ・シュルツ博士(ハーヴァード大学植物博物館)」より
 熱帯雨林は非常に独特の魅力をもち、かつ、とても複雑な世界である。そしてまた、私たちの住むこの惑星の上でもとりわけ美しい場所だ。そのアマゾンについて、われわれがなかなか理解できない領域は多々あるが、そのひとつが、森のインディオと植物との緊密さだ。異文化と接触していない先住の人たちは、純粋に科学的な調査に対して、しばしば非常に関心を示し、喜んで協力しようとしてくれる。インディオの「奥義」、ことに動植物に関する神秘的な知識は、むりやり聞き出さなければ決して明かしてもらえないと広く信じられているけれども、それはだいたいにおいて誤った思い込みだ。
 マーク・プロトキンは、きわめて誠実な態度で現地の人びとに接している。インディオから学ぶ気持ちをもったマークは、首尾よく植物を採取しただけでなく、儀式や祭礼などにも参列させてもらい、他所者にはめったに味わえない経験をすることができた。
 この本について、特に指摘しておきたい魅力がある。何千年来アマゾンのインディオたちに受け継がれてきた先祖伝来の暮らしを、ほぼそのままの形で見ることのできる民族植物学者は、マーク・プロトキンの世代で最後になるだろう。植物性の毒を塗った矢を番えた弓を持つふんどし姿の男たちと獣を追って森を駆け抜け、椰子の葉を葺いた小屋で病人を癒す呪医に出会い、女たちががりがりとカッサバを挽く音が村じゅうに響き渡り---こうした情景や背景音は、19世紀の博物探検学者たちの手記を髣髴させる。マークはこの懐かしい風景を、現代の読者の前に心憎いまでに生き生きと描き出してみせてくれた。
 環境がとてつもない勢いで破壊され、人口が目の回るような勢いで増えつつあることを考えると、熱帯雨林と、その周辺に暮らす人びとのこわれやすい文化を保護するためには、少なくとも今世紀末までにはなんらかの手を打たなくてはならない。作家としての才能と科学者としての洞察力に恵まれた著者の手になる魅力的な本書は、熱帯雨林保護のために大きな役割を果たすことだろう。マークは、熱帯雨林とそこに住む人びとが存在することの意味の重さを、人の心を動かさずにはおかない、痛切な言葉で訴えかけている。したがってこの本は、植物学、民族植物学のみならず、人類学、熱帯医学、シャーマニズム、そして熱帯地方の環境保護に関心のある方ならどなたにも読んでいただきたい傑作になっている。

【主要目次】
第1章・エメラルドの扉を開けて
第2章・ブラック・カイマンを探して
第3章・マルーン族とともに
第4章・二重の虹の下で
第5章・毒の製法





現在、熱帯雨林の薬用植物は、コストが比較的かからない新薬開発の素材として注目されている。本書は、民族植物学者がアマゾンのシャーマン〈呪術医〉に弟子入りし、彼の豊かな薬用植物についての知識を学ぶ冒険談。

 企業やコミュニティーの活動の本質は、知識の創造、活用、蓄積からなるダイナミックなプロセスである。しかし、この本質は、われわれの目には見えないことがある。知識は、科学の公式や製品の仕様書のように書かれたものとしての形をとるばかりではなく、言葉にはできない技能やものの見方、あるいは慣習の中にも埋め込まれているからである。
 知識科学は、そのような知識の重層的な構造を解明するとともに、書かれざる知識に形を与え、組織的に共有できるモデルを作り、さらには新しい知識を創造するメカニズムの構築を目指す。それは、見えない本質に光を当て、企業やコミュニティーに未来を切り拓くための変革の視座に立つことに他ならない。

内容説明

ハーヴァード・イェール・タフツの各大学で民族植物学を修めた著者が、植物学の「先達」であるシャーマン(呪医)との出会いを求めて十年をかけて南米アマゾンを踏破。強じんで、深い智慧をもつシャーマンたちに、著者プロトキン博士が、癒しの植物について教えられる様子を濃やかに描く。全世界でベストセラーになった、植物、新薬開発、動物、人間たちをめぐる冒険物語。

目次

第1章 エメラルドの扉を開けて
第2章 ブラック・カイマンを探して
第3章 マルーン族とともに
第4章 二重の虹の下で
第5章 毒の製法

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tom

8
翻訳をした屋代通子さんの「ピダハン」がすこぶる面白かったので、期待して借りてきた本。いわゆる、プラネットハンターのお仕事を書いたもの。「ピダハン」に登場する訓練を受けた言語学者、文化人類学者とこの本のプラネットハンターでは、文化を見る目が全く違うということを実感させる。面白さという点では、「ピダハン」の方が、はるかに格上。もっとも、この本、活字がちょっとゴシックで太いのです。よって、老眼の私には読みやすい。2013/11/02

tipsy

7
この本はある種の報告レポート。熱帯雨林は複雑な世界だが独自の魅力を放つ美しい場所。人間の体の不調に効く植物の宝庫で、心に爆発的な花火を散らし幻覚をもたらす植物に、吸えばうっとりする煙を出す植物まで多種類に渡り存在。アマゾンが見せる限りない表情が想像上で自分の内部のコードに触れ、その生態系に感動を覚える。何処までも遠く広い景色だったり意思の疎通もできない動物や植物が、次元の違う世界に存在し必死に生きてると思うと勇気が出るというかそんな感覚。今の私の悩みなんてちっぽけすぎる。熱帯雨林の生態系は素晴らしい2015/02/05

Ernest

4
ジャンプ黄金期を支えた某シャーマン漫画の影響でシャーマニズムの勉強をと思って借りた本。図書館になかったら絶対読むことはなかった。旅行ができないなら旅行記を読めば良いじゃないと言われても中々面白い本ないよな、と思っていたらこれがめちゃくちゃに面白かった。モンスターハンターで薬草を使って回復薬とか作るけれど、元々はインディオたちとか、いや日本でも昔はこうやって植物から直に薬を武器を作ってたんだよな。「先進国」といい気になっている私たちをも超えるかもしれない知識が、「遅れている」と言われて消えていくのが悲しい。2021/06/28

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