内容説明
科学の思考は、科学のたずさわる人々の生い育った風土には無関係だと、しばしば主張されているが、それは幻想にすぎない。現代科学の研究に従事している科学者も、その大部分は、日本の知的風土から生まれた思考のパターンにしたがって研究しているのであって、欧米の科学者たちとは、日常業務の面でも大きく違ってくる。日本科学者の考え方や手法は、欧米の知的伝統に立つ人々に比べ異なっている。科学には国境はないというが、科学に対する理解の仕方や、それへの接近の仕方には、科学者のもつ祖国が顔をのぞかせているのである。
目次
科学者の一日―日本では
心理的安定度と自信
事実を見る眼と思考の論理
数式とイデオロギー
関心の広さとプロ意識
独立指向と従属指向
科学の発展法則
科学教育と思考力
個人と国家
論文の作法
科学の思考と風土