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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流言
19
同じ千円でも、社会人と小学生では全く価値は異なる。これと同じように、戦艦大和一隻に『採算がとれたのか』という視点を持ち込むのはアンフェアなように思えるが、ハッキリわかる銭という視点から読み解いたのは楽しめた。個人的には、日本は二次大戦で敗戦してなきゃ事実上の軍事国家として莫大な軍事費がかかったまま時間を重ねていただろうし、東アジアの親米国家としての今があるだけでも充分に価値はあった……と思うけどね。大和が割に合うか、というならそもそも当時のあれだけの軍実力を持つことは適当だったのかという話をしなくちゃね。2019/09/08
えぬ氏もわるよのぉ
7
戦争とはお金のかかるものだ。大和の直接の建造費、造船ドックの拡張費、工作機械の輸入費、完成後の維持費等々、天文学的数字の頻出に目眩を覚えた。貧乏国だった戦前の日本は、平時でも国家予算の三割が軍事費。今日の感覚からすると、ずいぶん背伸びをしていたものだ。司馬遼太郎が、日本は日露戦争後は軍縮して分相応な軍備にすべきだったと言っていたが、一度大きくなった組織を縮めるのは難しい。内部の人間の既得権益に直接絡むから。2021/08/13
porisan
6
国家予算が15億と言われる時代に1億3500万円の建造費をかけ、目的であった艦隊決戦の主役として使われる事なく約4年で撃沈された大和、これだけ見れば収支が黒字である訳無いのは明白。ただ、大和の建造で培った技術が戦後の技術大国日本に大きく関わったことを考えると一概に赤字とは言い切れないのかもと思える。ちなみに、現在の国家予算が106兆6000億、最新のイージス艦が2400億って事です。大和って当時の日本が無理くり造った戦艦っだたのですね。2021/08/27
decomo
3
アルキメデスの対戦を見て、「数字は嘘をつかない」という言葉にひかれました。この本はまさに数字。戦争が人道的な問題よりも、財政的に無理!軍費が国家予算の100パーセントってヤバいでしよっ。北朝鮮どころの騒ぎじゃないですよ。70年前の日本。いやー目からウロコな一冊でした。2019/09/07
Meistersinger
2
確かに失敗だった大和だが、「どこで軌道修正(建造中止や艦種転換など)すべきだったか」は結論が出ない。戦艦が主役だったことは当時は間違いなかったし、条約などの制約下で一点豪華主義を図るのも間違いではない(一応は四番艦まで建造する計画はあったし)。就役直後から使い惜しみしないというのが一つの方法だったろうけど。戦前の日本外交と同様に、明確な失敗への分岐点を見出すのは難しい。2021/09/20